歴史的邸宅が蘇る:カフェ・レストラン「Ersie」の革新

伝統と現代性が融合した空間再生の新たな指標

カフェ・レストラン「Ersie」は、カジャール朝時代の歴史的邸宅を現代的な社交空間へと再生したプロジェクトです。歴史的建築の保存と現代的な機能性を両立させることで、地域文化の新たな発信地となっています。

「Ersie」は、歴史的価値の高いカジャール朝時代のヴィラを、現代のカフェ・レストランとして再生するという大胆な試みによって誕生しました。設計者Ali Moazzenは、建物の隠された建築的ディテールを丹念に発掘・修復し、その豊かな物語性と立地の魅力を最大限に引き出しています。プロジェクトは、歴史的保存技術とアダプティブ・リユース(用途転換)の研究を徹底的に行い、過去への敬意と現代のニーズの調和を実現しました。

このデザインの最大の特徴は、歴史的な建築要素の保存と現代的な機能の融合です。修復されたオルシ窓や百年を超える樹木の保存、空間の革新的な再利用、そしてバリアフリー対応のエレベーターや点字メニューなど、誰もが快適に過ごせる配慮が随所に施されています。伝統的な職人技へのオマージュと現代デザインの融合が、唯一無二の空間体験を生み出しています。

施工にあたっては、伝統的な石造構造をスチールフレームで補強し、精緻な漆喰装飾の修復には高度な技術が用いられました。オーダーメイドのオルシ窓や木製ドアの復元、持続可能な素材の活用、最新の空調システムの導入など、歴史的空間に現代技術を巧みに組み込んでいます。綿密な現地調査と歴史的資料の分析に基づき、保存と機能性の両立が図られました。

「Ersie」は、来訪者が歴史の重みを感じながらも、快適な現代のサービスを享受できる設計となっています。エントランスからメインダイニング、VIPスペースへと続く動線は明快で、オリジナルの壁や構造体の保存が空間の雰囲気を高めています。エレベーターや中央冷暖房システムなどの現代設備が、すべての利用者にとって快適でアクセスしやすい空間を実現しています。

このプロジェクトは2021年に着工し、2023年にカズヴィンで完成しました。カジャール朝時代の建築遺産を現代のカフェ・レストランへと生まれ変わらせることで、地域の文化観光や遺産保存にも大きな影響を与えています。厳格な保存法規や技術的課題を乗り越え、歴史と現代性の共存という新たな価値観を提示しました。

「Ersie」は2025年、A' Cultural Heritage and Culture Industry Design Awardのブロンズ賞を受賞しました。歴史的保存と現代デザインの融合が、社会やデザイン分野に持続可能な再生の可能性を示し、生活の質向上に貢献しています。歴史的建築の新たな活用法を模索する多くのプロジェクトにとって、先駆的なモデルとなるでしょう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Ali Moazzen
画像クレジット: Image #1: Photographer Peyman Rajabi, 2024. Image #2: Photographer Peyman Rajabi, 2024. Image #3: Photographer Peyman Rajabi, 2024. Image #4: Photographer Peyman Rajabi, 2024. Image #5: Photographer Peyman Rajabi, 2024.
プロジェクトチームのメンバー: Ali Moazzen
プロジェクト名: Ersie
プロジェクトのクライアント: Ersie Mansion


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