自然と調和するバレンシア邸:サンパウロの夏の隠れ家

地形を生かし家族の絆を深める現代建築の新境地

バレンシア邸は、サンパウロ郊外の豊かな自然に抱かれた、家族のための夏のリトリートとして誕生しました。ルーカス・パドヴァーニ率いるデザインチームが手がけたこの住宅は、地形への敬意と現代的な美意識が融合し、自然と住空間の一体感を追求しています。2025年、世界的なA'デザインアワードでプラチナ賞を受賞し、建築とライフスタイルの新たな指標となりました。

バレンシア邸の設計は、最初のスケッチから始まりました。敷地の傾斜を活かし、主要な建物部分を半地下に埋め込むことで、垂直方向の圧迫感を抑え、自然な地形との一体化を実現しています。細く伸びる水平ラインとスレンダーな構造が、三層構造のスケールを巧みに調整し、周囲の景観と調和しています。パノラマビューや地形への適応、戦略的なブロック配置が、機能性と美しさの両立を可能にしました。

この住宅の最大の特徴は、内外の境界を曖昧にする開放的な設計にあります。広々としたソーシャルスペースが、家族やゲストが自然とつながりながら過ごせる空間を提供。ブラジルの伝統的な素材である木材や石、ライムベトン、露出コンクリートなどが用いられ、素朴さと現代性が同居する独自の雰囲気を生み出しています。プールには天然のヒジャウ石が使われ、自然素材の質感が随所に感じられます。

構造面では、鉄筋コンクリートによる堅牢性と、金属フレームによる大開口部や軽やかなボリュームが特徴です。これにより、効率性とデザイン性の両立が図られ、1,500平方メートルの広大な空間が自然と調和しながら展開します。7つのスイートルーム、プール、ジムなど、家族の多様なニーズに応える機能性も備えています。

このプロジェクトのクライアントは、文化的な調和を象徴するスペイン出身のファイナンシャーとブラジル人の妻。家族が集い、自然の中でくつろげる場所を求めていました。設計過程では、初期コンセプトの実現可能性や実用性を高めるために、細部の調整や最適化が重ねられました。ボリュームやデザインの原則は維持しつつ、技術的要件や現地の文脈に合わせて進化を遂げています。

バレンシア邸は、2020年に着工し、2022年にポルト・フェリス(サンパウロ州)で完成。建築と自然、家族の絆を結ぶ新しいライフスタイルの象徴として、今後も多くの注目を集めることでしょう。

自然との共生、文化的多様性、そして現代的な快適性を兼ね備えたバレンシア邸は、建築とライフスタイルの未来を切り拓く存在です。家族やゲストが心地よく過ごせる空間づくりのヒントとして、今後の住宅デザインに大きな影響を与えることが期待されます。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Lucas Padovani
画像クレジット: Main Image #1: Fran Parente, Valencia House, 2023. Optional Image #1: Fran Parente, Valencia House, 2023. Optional Image #2: Fran Parente, Valencia House, 2023. Optional Image #3: Fran Parente, Valencia House, 2023. Optional Image #4: Fran Parente, Valencia House, 2023.
プロジェクトチームのメンバー: Lucas Padovani, Bruno Padovani, Raquel Azevedo, Israel de Marco, Fabio Wetten, Giovanna Verdini, Giovana Ferreira, Ana Luiza Devito, Anna Cecília Mota, Angelo Montenegro, César Martini, Giovanna Moles, Larissa Higa, Laura Zago, Marina Nunes, Renata Barros, Rodrigo Duarte, Gabriel Vidal, Gabriele Lopes, Igor Neves, Julia Arrigucci, Laura Lacerda, Marianna Cavalcante, Raquel Mendes, Stefano Immer, Yasmin Higa.
プロジェクト名: Valencia
プロジェクトのクライアント: Padovani Arquitetos


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