「Free Air」は、発掘現場で見つかる古い瓶の一部をモチーフに、地中に埋もれた過去と地上の未来を象徴的に表現している。上部には医療用316ステンレス鋼が使用され、その鏡面仕上げが周囲の風景を鮮明に映し出し、永遠性とテクノロジーの洗練を感じさせる。一方、地中に埋め込まれた下部はアンティークブロンズで仕上げられ、土地の歴史的な深みを物語る。素材のコントラストが、都市の変遷と再生の物語を静かに語りかける。
この作品の最大の特徴は、都市空間に風や空気の存在を可視化し、来訪者が自由と軽やかさを身体で感じ取れる点にある。宇部市の産業都市としての歴史を背景に、アートによる空間の再生と、緑豊かな都市生活への変革を提案。さらに、日本と台湾が半導体技術で協力する現代社会において、イノベーションと自由な未来へのビジョンを体現している。
制作には、最新のデジタル板金加工技術と伝統的なブロンズ鋳造技術が融合されている。ステンレス部分はデジタル成形によって精密に作られ、金型やプレスを必要としないため、唯一無二の造形が可能となった。ブロンズ部分は、何千年もの歴史を持つ鋳造技術で仕上げられ、現代のテクノロジーと伝統工芸の美しい共存を実現している。
鑑賞者は作品に触れ、近づき、風のような軽やかさと解放感を体感できる。アートとセラピーが融合したこの体験は、心身のリラックスや癒しをもたらし、都市生活者に新たな幸福感を提供する。医療研究でも、ポジティブな感情が健康に寄与することが確認されており、「Free Air」はその実践的な効果を都市空間にもたらしている。
デザインの課題としては、有機的なバブル形状をどの角度から見ても自然に見せること、最小限の接点で構造的強度を保つこと、そして重厚な素材に軽やかさを与えることが挙げられる。これらを克服したことで、静的でありながら動的な印象を持つ彫刻が誕生し、空気の流れや自由を視覚化することに成功した。
「Free Air」は、2025年A'デザインアワードのシルバー賞を受賞し、技術的・芸術的な卓越性が高く評価された。宇部市の現代日本彫刻展(UBEビエンナーレ)で公開されており、都市の新しいランドマークとして多くの人々に癒しと驚きを提供している。
都市の過去と未来、重さと軽やかさ、伝統と革新を一つにした「Free Air」は、アートが都市空間と人々の心に与える力を再認識させる。今後もこのような作品が、都市生活に新たな価値と自由をもたらすことが期待される。
プロジェクトデザイナー: Huang Yu Jung
画像クレジット: Photographer (Kao,Ming-Chieh)
プロジェクトチームのメンバー: Huang Yu Jung
プロジェクト名: Free Air
プロジェクトのクライアント: Fresh Design Studio