記憶と現代性が融合する住まい「From Past To Future」

物語を紡ぐ空間、家族の歴史とデザインの調和

イスタンブール・スアディエに位置する「From Past To Future」は、セマ・ヤズジュによる設計で、家族の記憶と現代的な美意識が見事に融合したレジデンスです。住まい手が長年にわたり集めてきた家具やアート、アクセサリーが、最新の素材や構造と調和し、個性的で温かみのある空間を創出しています。この住まいは、物語性と機能性を兼ね備えた現代住宅の新たな在り方を示しています。

サクラ・アーキテクチャーの理念である「物語のある空間づくり」は、この住まいにも色濃く反映されています。アメリカ留学時代の金庫やシンガポールから輸入したビュッフェ、豊かさを象徴するザクロの絵画など、ひとつひとつのアイテムが家族の歴史を物語ります。これらの記憶の断片が、現代的なデザインと融合し、唯一無二の居住空間を形成しています。

エミルガンの広い住まいから移り住んだ家族は、思い入れのある家具やアートを新居にも取り入れることを希望しました。設計では、モダンな要素と機能性を重視しつつ、既存のアイテムの色や素材を巧みに調和させています。新たに選ばれた大理石や木材、ラッカー仕上げの家具が、空間に洗練された印象と温かみをもたらしています。

床や水回りには時代を超えた美しさを持つ大理石、リビングやキッチンには温かみのある木製パーケットを採用。家具には天然木の突板と光沢のあるラッカー仕上げを組み合わせ、滑らかで自然な質感の移行を実現しています。壁紙やクリスタルシャンデリア、アンティーク家具、植物、アート作品が空間に動きと個性を加え、生活の質を高めています。

155平方メートルの住空間は、家族の要望に応じて4LDKから3.5部屋+リビングへと再構成されました。バルコニーは緑豊かな景観を取り込み、室内外のつながりを強調。玄関や廊下の床には黒と白の大理石を用い、動きと統一感を演出。リビングでは、寄木細工の床や大理石の暖炉、ワインスコーティング、クリスタルシャンデリアがクラシカルな雰囲気を醸し出し、赤いファブリックやビュッフェが空間に活気を与えています。

この住まいには、1923年製ドイツ製ピアノや1914年製ロシアのサモワール、1948年ディヤルバクル製のチェストなど、歴史的価値のあるアイテムが随所に配置されています。中国やインドネシア、アメリカなど世界各地から集められたアクセサリーや、国内外のアーティストによる絵画が、エクレクティックな美を生み出しています。限られた空間を最大限に活かし、過去と現在が調和する温かな住まいが実現しました。

「From Past To Future」は、家族の思い出と現代的なデザインが共鳴し合うことで、唯一無二のライフスタイルを体現しています。2025年、A'デザインアワードのブロンズ賞を受賞した本プロジェクトは、アートと機能性、そして心地よさを兼ね備えた新しい住まいの可能性を示しています。物語のある空間が、日々の暮らしに豊かさと彩りをもたらすことを、この住まいは静かに証明しています。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Sakura Architecture
画像クレジット: Erhan Tarlıg
プロジェクトチームのメンバー: Sema Yazici Yadigar Tanriverdi Nurten Yildiz
プロジェクト名: From Past to Future
プロジェクトのクライアント: Sakura Architecture


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