「Firefly」は、その名の通りホタルから着想を得た照明器具です。ホタルのように暗闇で優しく輝き、周囲を照らすことで独自の存在感を放ちます。電気や電球が普及する以前に使われていた古いランプの雰囲気を再現しながら、現代のインテリアに溶け込むデザインが特徴です。限られた範囲を柔らかく照らすことで、空間の一角に特別な意味を与えます。
このランプの最大の特徴は、壁掛けと卓上の両方で使用できる柔軟性です。さらに、照明部分がベースで回転する構造により、傾斜天井にも対応可能。2種類の光源を備え、ひとつはナイトライトや半暗がりの演出に適した低照度、もうひとつは読書や空間全体の照明に適した高照度で、利用シーンに応じて使い分けができます。
製作には、不透明なガラスグローブと木製ベースを採用し、伝統的なランプの質感を再現。ベースは旋盤加工技術で作られ、直径2cmのロッドでグローブとベースを接続。グローブは360度回転し、光の向きを自在に調整できます。ベースの直径と高さは200mm、最終的な高さは350mmと、空間に程よい存在感を与えます。
このデザインは、ホテル空間に最適な照明を求めるオーダーから生まれました。コントロール可能な光で半照度の空間を作りつつ、独自のフォルムで非日常感を演出。就寝時や読書用のライトとしても活躍し、空間の質を高めることを主な目的としています。
「Firefly」は、イランや中東建築における光の使い方を研究し、伝統的な装飾を繰り返すことなく新しい形を追求したプロジェクトです。素材選びや回転機能、光の調整性が、イラン的な美意識を現代的に表現しています。木材の使用制限という課題を乗り越え、クライアントの要望に応えるための創造的な工夫が随所に見られます。
「Firefly」は、伝統と革新を融合させた照明デザインとして、現代のライフスタイルに温もりと個性をもたらします。空間に新たな物語を生み出すこのランプは、日常に特別な光を灯す存在として注目されています。
プロジェクトデザイナー: Mahya Hoseini
画像クレジット: Sobhan Mirtahmasb
プロジェクトチームのメンバー: Mahya Hoseini
プロジェクト名: Firefly
プロジェクトのクライアント: Buztob Studio