オリーブの生命力を映す切子ガラス「Brilliant Olive」

小豆島の静謐なオリーブ林から生まれた新たなガラス工芸

「Brilliant Olive」は、石川敬司による切子ガラスのテーブルウェアコレクション。日本のオリーブ名産地・小豆島の豊かな自然と、オリーブが象徴する平和・知恵・繁栄の精神を、緻密なカットと色彩で表現している。現代のライフスタイルに寄り添いながら、伝統技術と革新性を融合させた本作は、2025年のA' Design Awardで銀賞を受賞し、国内外で高い評価を得ている。

小豆島のオリーブ林に着想を得た「Brilliant Olive」は、自然の持つ持続的な生命力と知恵を、ガラス工芸の枠を超えて表現している。オリーブの枝葉をモチーフにしたデザインは、古代から現代に至るまで人々の生活と深く結びついてきたオリーブの象徴性を巧みに取り入れている。石川敬司は、自然界の調和と成長の美しさをガラスの中に封じ込めることを目指し、デザインの根幹を丁寧に構築した。

本作の最大の特徴は、切子ガラスの技術を駆使して表現されたオリーブの葉と実のパターンにある。葉は交互に並び、螺旋を描くことで成長のダイナミズムを感じさせる。いくつかの葉はハート形を成し、温もりと安らぎを象徴。グラデーションのかかったオリーブの実は、控えめな知性を反映している。葉と実はパズルのピースのように配置され、光が差し込むたびに生き生きとした輝きを放つ。飲み物を注いだ際、上から覗くと葉の模様が複雑に反射し、まるで本物のオリーブの葉が揺らめくような幻想的な効果が生まれる。

制作には日本の伝統的な切子技法が用いられており、二重構造のガラスを職人が一つひとつ手作業で研磨・カットしている。特注の広角Vカット用研削ホイールや、オリーブの葉専用のカッティングホイールを導入し、グラデーション表現や複雑な重なりを実現。特に濃色ガラスの加工には高度な技術と熟練が求められ、石川敬司は繊細な接点調整を重ねて完成度を高めた。

製品ラインナップは、酒グラス(直径60mm×高さ70mm)、ワイングラス(直径58mm×高さ150mm)、酒杯(直径60mm×高さ60mm)、ロックグラス(直径77mm×高さ92mm)、プレート(直径150mm×高さ33mm)と多彩。どのアイテムも、側面から眺めると葉模様が重なり合い、上から見ると内側のパターンが反射して複雑な光の表情を見せる。使うたびに新たな発見があり、日常の食卓に詩的な美しさをもたらす。

「Brilliant Olive」は、伝統と革新、自然と人の営みが交差する現代のガラスアートの最前線を示している。オリーブの枝葉が持つ平和と繁栄の象徴性は、忙しい日常に静かな癒しとインスピレーションを与えるだろう。今後も日本のクラフトマンシップとデザインの融合が、世界のライフスタイルシーンに新たな価値をもたらすことが期待される。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Keiji Ishikawa
画像クレジット: Video Credits: The glass is rotated to show the changing scenes in a video to depict the intricate and sparkling pattern that seems to be imbued with life from the olive leaves above.
プロジェクトチームのメンバー: Keiji Ishikawa
プロジェクト名: Brilliant Olive
プロジェクトのクライアント: KJ studio


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