「Traditional Parure」は、ロシア北部の伝統衣装に見られる装身具を、現代的な技術と持続可能な素材で再構築したジュエリーセットです。エカテリーナ・コルジは、歴史的な手刺繍や金工技術を用いながら、現代社会における偽りのナショナル・アイデンティティへの抗議を込めて本作を制作しました。彼女はロシアの伝統衣装や装飾史を徹底的に研究し、オリジナルのクラフトマンシップを現代に蘇らせています。
このパリュールは、セレブレーション・ティアラ、フェイクアンバーのネックピース、オジェレロク・ネックピースという三つの主要な装飾要素で構成されています。それぞれにコットンコード、シルク、真珠、リサイクルガラス、エナメル、金銀線など多様な素材が用いられ、伝統的な技法と現代のサステナブルなアプローチが巧みに融合しています。特にフェイクアンバーのネックピースには、リサイクルガラスを用いたクロワゾネ(金線細工)技法が新たに開発され、従来の工芸の枠を広げています。
このジュエリーセットは、かつて北ロシアの農村で若い女性が成人儀式や婚礼前夜に身につけていた伝統を踏襲しています。エカテリーナ・コルジは、約400時間をかけてデザインから刺繍、金工までを手がけ、歴史的な正確さと現代的な美意識を両立させました。彼女の研究は、失われつつある伝統工芸の保存と、持続可能な未来への提案を同時に実現しています。
制作過程では、伝統技術の再現だけでなく、リサイクルガラスへのクロワゾネ技法の応用という技術的な挑戦も行われました。この新しいアプローチは、素材の特性や技法の研究を重ねることで実現し、現代のジュエリーデザインに新たな可能性をもたらしています。
「Traditional Parure」は、2025年のA' Costume and Heritage Wear Design AwardにてIron賞を受賞し、プロフェッショナルな技術と革新性が高く評価されました。歴史と現代性、サステナビリティと美意識が調和した本作は、伝統工芸の再発見と未来への架け橋となっています。
伝統的な美と現代的な価値観が交差する「Traditional Parure」は、クラフトマンシップの継承とサステナブルな未来へのヒントを与えてくれます。歴史を尊重しながらも新しい表現を追求する姿勢が、今後のデザイン界に新たなインスピレーションをもたらすことでしょう。
プロジェクトデザイナー: Ekaterina Korzh
画像クレジット: Ekaterina Korzh
Aaron Paden
Anastassia Rodionova
プロジェクトチームのメンバー: Ekaterina Korzh
プロジェクト名: Traditional Parure
プロジェクトのクライアント: korzhstudio