台南の400年を描く「Viewpoints」展のビジュアル革新

歴史と現代が交差するストリートファニチャーの新たな表現

「Viewpoints」は、2024年台湾デザインエキスポのサテライト展示として台南に登場し、400年にわたる都市の歴史と現代文化をストリートファニチャーを通じて結びつけている。アーケードベンチや寺院の座席など、日常の交流が生まれる場所をテーマに、若々しい視点と洗練されたイラストレーションで台南の魅力とエネルギーを表現している。

このプロジェクトは、台南の路地や建築遺産に息づく文化を、現代的なストリートファニチャーのデザイン展示として再解釈している。Chung Sheng Chen、Ting Yuan、En Yangを中心としたデザインチームは、精選されたカラーパレットと表情豊かなイラストを用い、人々や物、空間が交わる日常の瞬間を描写。都市の生活と建築が溶け合うことで、休息や会話の場面が際立ち、来場者に台南の文化と未来への想像を促している。

ビジュアルアイデンティティは、Adobe IllustratorやPhotoshopを活用し、手描きのイラストとグラフィックデザインを融合。赤レンガや淡い黄色の壁、鮮やかなアクセントカラーなど、台南の建築色彩からインスピレーションを得ている。印刷物には厚手の用紙とデジタル印刷を採用し、色の安定性と細部の再現性を確保。ポスターやガイドブック、デジタルバナーなど多様な媒体で一貫したビジュアルを展開している。

このデザインは、ポスター(A1サイズ)、パンフレット(A2サイズ)、デジタルバナー(1080px×1920px)など、用途に応じた仕様で展開されている。カラーパレットには、レンガレッドやアースグリーン、オーシャンブルー、ウォールオレンジ、ウォームイエロー、カーキイエローなど、台南の街並みを象徴する色が選ばれている。グラデーションの活用により、都市の多様性と奥行きが表現されている。

「Viewpoints」は、ポスターやガイドブック、SNS、展示サイン、デジタルインスタレーションなど、さまざまなプラットフォームで展開され、台南のストリートファニチャー文化を一貫したビジュアルで伝えている。明快なデザインと強いアイデンティティにより、来場者の興味と参加を促進。文化遺産と現代性の融合という課題に対し、シンプルな色使いと遊び心あるイラスト、特徴的なペン描きのアウトラインで、歴史の深みと現代の美意識を見事に両立させている。

本プロジェクトは、台南の400年にわたる文化遺産と現代デザインを結びつけるとともに、デザイン学生と地元企業、行政機関の連携による産学協働モデルを実現。学生の創造力と業界の専門性を融合し、都市文化の新たな価値創出に貢献している。2025年にはA' Graphics, Illustration and Visual Communication Design Awardでシルバー賞を受賞し、その技術力と芸術性が国際的にも高く評価された。

「Viewpoints」は、台南の過去と未来をつなぐデザインの力を体現し、都市の魅力を再発見するきっかけを提供している。歴史と現代が調和するこの展示は、訪れる人々に新たな視点とインスピレーションをもたらすだろう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Chung Sheng Chen
画像クレジット: acdesign associates International Co.,Ltd
プロジェクトチームのメンバー: ChungSheng Chen TingYuan Lin EnYang Chen EnJia Hsu WanYun Lo acdesign Associates International Co.,Ltd Cultural Affairs Bureau,Tainan City Government Tainan University of Technology
プロジェクト名: Viewpoints
プロジェクトのクライアント: Tainan University of Technology/Product Design Deparment


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