静謐と美を纏う新時代の美容外科クリニック空間

禅の美学と機能性が融合したタイムレスなデザイン

孟辰和(Meng Chen Ho)による「Ethereal Essence」は、台北に誕生した美容外科クリニックの新たなスタンダードを提示する。自然素材とアースカラー、東洋の禅美学を取り入れたこの空間は、心身を解きほぐす静けさと、機能美を兼ね備えている。

「Ethereal Essence」は、中国と日本の禅の美意識を巧みに融合し、現代的なミニマリズムと温かみのある素材感を両立させている。高級クラブの洗練、専門クリニックの機能性、瞑想ルームの静謐さを一体化し、訪れる人々に落ち着きと安心感をもたらす設計が特徴だ。

空間のゾーニングには、高背のスクリーンを採用し、開放感とプライバシーの絶妙なバランスを実現。従来の固定パーティションではなく、パネルカーテンや半透明の仕切りを用いることで、光を柔らかく取り込みながらも、必要な時にはプライベートな空間を確保できる。これにより、利用者は圧迫感を感じることなく、安心して過ごすことができる。

素材の選定にも独自性が光る。墨絵を思わせる石材と木材パネルのシームレスな切り替え、エメラルドグリーンのガラステーブルや黒のベントウッドスツールなど、細部にまでこだわった意匠が空間に奥行きを与えている。高価な石材と手頃な木材を組み合わせることで、コストを抑えつつもクラフトマンシップを高めている点も注目に値する。

設計・施工はわずか6ヶ月という短期間で完了。260㎡のスペースには、手術室やガス設備など専門的な要素も盛り込まれ、医療工学の知見と迅速・軽量・耐火・耐久性の高い施工技術が活かされている。柔らかなファブリックや金属メッシュ、ローマンブラインドなど、多彩な素材の組み合わせがアート性と機能性を両立させている。

このプロジェクトは、限られた予算と時間、そして医療空間としての厳しい要件を乗り越え、2025年にA' Design Awardのインテリアスペース部門でIron賞を受賞。業界のベストプラクティスと技術的な完成度を評価され、実用性と革新性を兼ね備えた空間として高く評価された。

「Ethereal Essence」は、静かな贅沢と東洋の美学を現代のライフスタイルに取り入れた、ウェルネスとリフレクションのための新しい空間体験を提案している。今後の医療空間デザインにおいても、時代を超えて愛される普遍的な価値を示している。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: MENG CHEN HO
画像クレジット: MENG CHEN HO
プロジェクトチームのメンバー: MENG CHEN HO
プロジェクト名: Ethereal Essence
プロジェクトのクライアント: SHAMUBOO


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