歴史と未来をつなぐ「Wulin Star」展覧会ホールの革新

産業遺産の再生が生み出す都市文化の新たなランドマーク

杭州の歴史的工場建築を活用した「Wulin Star」は、過去と未来を融合させることで、都市文化の新たな拠点として注目を集めている。ZPDIデザインチームによる本プロジェクトは、産業遺産の保存と現代的機能の共存を目指し、展示・芸術・商業を有機的に結び付けることで、杭州の国際化と都市の質向上に貢献している。

「Wulin Star」は、杭州酸素工場コンプレックスの歴史的建築物である3号棟と4号棟を再生した展覧会ホールである。ZPDIデザインチームは、建物本来の空間やディテールを最大限に保存しつつ、大型の波形アルミプレート回転ドアやLED折りたたみスクリーンといったインダストリアルな新要素を導入。古い工場の複雑な配管や機械装置を再編成し、静的だった空間を活気あふれる文化拠点へと変貌させた。

このプロジェクトの最大の特徴は、歴史的価値と現代的機能のバランスを追求する点にある。例えば、8.5メートルの高さを誇る大型回転ドアは、電動・手動両方の操作が可能で、360度回転や任意の位置での停止を実現。約2トンの重量にもかかわらず、地上に設置された鋼構造柱と上部の円形レール、ジッパー、化学アンカーボルトによって安定性を確保している。

また、4号棟の折りたたみスクリーンは総重量9トンに及ぶが、床面のレベルを維持するために地上レールを設けず、すべて上部の鋼トラスで吊り下げる設計を採用。既存の基礎に影響を与えないよう、工場建物の中央に新たな基礎を配置し、梁端部を利用したカンチレバー構造で上部全体を支えている。

このような技術的挑戦を乗り越えたことで、「Wulin Star」は市民の文化的リビングルームとして親しまれている。公共性の高い空間設計は、多様な市民参加を促し、美的教育や文化の普及にも寄与。歴史と現代、文化と生活をつなぐ場として、都市の新たなアイデンティティを体現している。

「Wulin Star」は、2024年3月に杭州で着工し、同年11月に一般公開された。建築面積は3号棟が7,837.72㎡、4号棟が1,784.35㎡。持続可能なデザイン思想を取り入れ、歴史的建築の構造とディテールを活かしつつ、都市の国際化と文化発展のモデルケースとなっている。

本プロジェクトは、2025年にA'デザインアワードのインテリアスペース・リテール・展示デザイン部門でシルバー賞を受賞。卓越した技術力と芸術性が高く評価されており、都市再生と文化創造の両立を実現した好例として、今後の都市デザインの指標となるだろう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: YINPING YAO
画像クレジット: Photographer GuoWei Liu
プロジェクトチームのメンバー: Principal Architect:Jinxia Li Lead civil engineer:Wenzhe Lu Principal Architect:Ruoxin Li Luyan Xu Liwei Zhu Hui Liu Zening Chen Chaonan Cheng Principal Architect:Yinping Yao Qifeng Hu Zhen Xu Yingchun Jiang Qinrong Lv Guoping Zhou Yunyang Ni Gaofeng Wang Jiong Li
プロジェクト名: Wulin Star
プロジェクトのクライアント: ZPDI


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