Enjoei本社の新オフィスは、オスカー・ニーマイヤー設計による1950年代の名建築「コパンビル」の一角、2,100平方メートルのフロアを舞台に展開されている。Gema Arquiteturaは、サンパウロ中心部の多様性と民主性を象徴するこの場所に、企業の社会的責任と都市再生への積極的な姿勢を重ね合わせ、空間の再定義に取り組んだ。
デザインの核となったのは、コパンビルの歴史的文脈と都市のリズムを読み解き、現代のワークスタイルにふさわしい「流動性」と「スケール感」を持たせること。詩的な要素や都市アイデンティティを織り交ぜ、即興性と歴史への敬意を両立させている点が特徴的だ。
サステナビリティへの配慮も随所に見られる。リサイクルファブリックの活用や、既存仕上げ材の修復、オリジナルカーペットや特注家具の導入など、廃棄物削減と資源の有効活用を徹底。中央柱の剥離を避け、既存サブフロアを仕上げ材として活用するなど、環境負荷の低減を実現している。また、会議室にはコストを抑えつつ音響性能を高める設計が施され、大型ガラスパネルの使用を最小限に抑えている。
空間構成では、既存テラスを「内部の街路」と見立て、都市とオフィスをシームレスにつなぐ動線を創出。中央の曲線レイアウトを活かしたメインエントランスと、エレベーター近くのサブアクセスが、リズミカルな動きと空間の奥行きを生み出している。自然光が差し込むこの「街路」を中心に、約230名の従業員が一体感を持って働くエコシステムが形成されている。
このプロジェクトは、コパンビルの歴史的価値とニーマイヤーの都市ビジョンを深くリサーチし、現代的な倫理観と美意識を融合させた点で高く評価されている。2025年にはA'デザインアワード(インテリアスペース部門)でシルバー賞を受賞し、その卓越した技術力と芸術性、そして都市再生への貢献が国際的にも認められた。
Enjoei本社の新オフィスは、歴史的建築の再生と未来志向の働き方を両立させる好例として、都市と人、企業と社会の新たな関係性を切り拓いている。今後、サステナブルな都市再生とイノベーションの融合が、世界中のワークプレイスデザインに広がる可能性を示唆している。
プロジェクトデザイナー: Nara Grossi
画像クレジット: Image #1: Photographer Joao Paulo Prado
Image #2: Photographer Joao Paulo Prado
Image #3: Photographer Joao Paulo Prado
Image #4: Photographer Joao Paulo Prado
Image #5: Photographer Joao Paulo Prado
Video: Videomaker Felipe Faria
プロジェクトチームのメンバー: Nara Grossi
Joseana Costa
Giuliana Mora
Bárbara Olyntho
Ana Koga
プロジェクト名: Enjoei Headquarter
プロジェクトのクライアント: Enjoei