雲林高鉄特区は、かつての農村地帯から急速に都市化が進むエリアです。この変化の中で、「クライメートセンター」は単なる行政庁舎にとどまらず、都市の成長と地域の伝統を結びつける象徴的な存在として設計されました。建物はL字型のレイアウトを採用し、風の流れを最適化することでエネルギー消費を抑え、ヒートアイランド現象の緩和にも寄与しています。
この施設の最大の特徴は、従来の硬直した官公庁建築から脱却し、集落のような多層的な空間構成を実現している点です。各部門は独立性を保ちながらも、オープンスペースを共有することで部門間の交流や協働を促進。国際会議場や緑豊かな広場など、地域住民も利用できる公共空間が設けられ、地域コミュニティの活性化に貢献しています。
外観は金属フレーム、木材、緑化を組み合わせ、現代性と自然の調和を追求。鉄筋コンクリートによる耐久性と、木の温もりを感じさせるロビーが特徴です。金属外壁は耐候性を高めるとともに、垂直緑化を支え、建物全体が自然に包まれているような印象を与えます。ガラスカーテンウォールの採用により自然光を最大限に取り入れ、照明エネルギーの削減と快適な室内環境を実現しています。
内部は「三次元集落」コンセプトに基づき、独立したオフィスユニットと共有スペースが有機的に連結。全体で約11,000平方メートル、地上6階・地下1階の規模を誇ります。スマートビルディング技術や水循環システム、ゼロ排水の実現など、ダイヤモンド級グリーンビルディング認証を目指した先進的な取り組みも注目されています。
このプロジェクトは、都市開発の不確実性や伝統と現代性のバランス、持続可能性の追求といった多くの課題を乗り越え、2025年にはA'デザインアワードのアイアン賞を受賞。地域社会とのつながりを強化し、未来志向の公共建築の新たなモデルを提示しています。
「クライメートセンター」は、都市と自然、伝統と革新が共存する新しい時代のランドマークとして、今後も地域の持続可能な発展とコミュニティの絆を育む拠点となることが期待されています。
プロジェクトデザイナー: Environmental Protection Bureau, Yunlin
画像クレジット: Environmental Protection Bureau, Yunlin County
プロジェクトチームのメンバー: Environmental Protection Bureau, Yunlin County, JNarcts, Pancheng Engineering Consultants Co., Ltd.
プロジェクト名: Climate Center
プロジェクトのクライアント: Environmental Protection Bureau