「Hidden Boxes」は、建築史におけるラウムプランやドミノ、ユニバーサルプランといった概念に着目しながらも、現代の住宅建築に根強く残る単調な空間構成への応答として誕生した。プロジェクトは、独立した空間ボックスを組み合わせることで、内部の空間構成やマス/ヴォイド(質量と空隙)のダイナミクス、表面の関係性、断片化といった内部要素と、気候やプライバシー、文化的要請などの外部要素をバランスよく統合している。
構造面では、プレストレスト構造と柱システムを採用し、キャンティレバー(片持ち梁)スラブを実現。効率的な構造設計により、内部と外部の境界を透明かつ堅牢に仕上げている。ファサードには、ファフル・オ・マディン煉瓦をボルトで接合し、主構造に固定する方法を採用。これにより、プライバシーや採光、空間の被覆性を確保しつつ、文脈的な配慮もなされている。
周辺環境は、低層ヴィラと高層集合住宅が混在する都市の過渡期にあり、「Hidden Boxes」はこの二つの住居タイプの対話点に位置している。ヴィラとアパートメントのハイブリッドな住空間は、急速な都市化と高密度化が進むハメダンの現状に応答し、住まいの新しい在り方を提案している。
設計プロセスでは、歴史的建築理論の研究と、ハメダンの伝統的住宅の空間分析が重ねられた。これにより、地域の住文化や気候条件、プライバシーへの配慮といった要素が、現代的なデザインに巧みに反映されている。特に、マス/ヴォイドの関係性や日射制御、外部からの視線を遮る工夫が特徴的だ。
「Hidden Boxes」は、2025年にA'デザインアワードの建築部門でアイアン賞を受賞。業界のベストプラクティスと技術的な完成度を兼ね備え、実用性と革新性を両立した住宅建築として高く評価されている。都市と住まいの未来を考える上で、重要な一石を投じるプロジェクトである。
革新的な空間構成と地域性への深い洞察を融合した「Hidden Boxes」は、現代建築における住宅の新たな可能性を示している。今後の都市住宅の在り方を考える上で、注目すべき事例と言えるだろう。
プロジェクトデザイナー: Yahya Kashi
画像クレジット: Image #1: Photographer Mohammad Hassan Ettefagh, Hidden Boxes, 2022
Image #2: Photographer Mohammad Hassan Ettefagh, Hidden Boxes, 2022
Image #3: Photographer Mohammad Hassan Ettefagh, Hidden Boxes, 2022
Image #4: Photographer Mohammad Hassan Ettefagh, Hidden Boxes, 2022
Image #5: Photographer Mohammad Hassan Ettefagh, Hidden Boxes, 2022
プロジェクトチームのメンバー: Yahya Kashi
プロジェクト名: Hidden Boxes
プロジェクトのクライアント: Kasa Office