歴史と未来をつなぐ河南科技館の革新的デザイン

文化・技術・空間美が融合した新たなランドマーク

河南省鄭州市に誕生した新しい河南科技館は、歴史的文化と最先端技術、自然の造形美を融合させた大規模な公共建築プロジェクトとして注目を集めている。科学教育の拠点として、革新的な設計と施工技術が結集され、地域社会に新たな価値をもたらしている。

河南科技館の新館は、鄭州市鄭東新区の象湖湖畔に位置し、総投資額20億元超、延床面積約11万平方メートルを誇る。設計は、歴史文化や自然の形態、現代技術、異分野協働からインスピレーションを得ており、空間構成の深化や先進的なモデリング技術の活用が特徴だ。特にAutoCADからRhinoへのビジュアルモデリングの変換は、同種プロジェクトへの新たな指針となっている。

本プロジェクトの最大の特徴は、複雑な空間形状と大規模な公共性にある。アトリウムの高天井や曲面壁、屋根の複雑な造形は従来の測定手法では対応が難しく、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)技術とトータルステーションによるデータ計測が導入された。取得した三次元座標はRhinoでモデリングされ、曲面アルミパネルやプレキャストコンクリート波形板の設計・製作に活用されている。

技術面では、アトリウムの壁や回廊などにプレキャストコンクリート波形板を採用し、総施工面積は1万平方メートルを超える。パネルは空間ごとにサイズが異なり、多くが超長尺・超幅仕様でドライハンギング工法を用いる。背面フレームは高強度鋼材を使用し、ジグザグ状の骨組みが壁面と表層を支える。詳細な施工図面により、寸法・材料・工程が明確化され、精度と標準化が徹底されている。

設計深化の過程では、現場測定やモデリング、レイアウト、工場加工、現場組立まで一貫したプロセスが確立された。特にアトリウム3・4階の「折線形状」壁面は、ステンレスと白色プレキャストコンクリート波形板による連続的な三次元造形で、Rhinoによるレイアウト設計が不可欠だった。厳冬期や短工期、膨大な現場作業量など多くの課題を乗り越え、設計意図を忠実に実現している。

河南科技館は、科学知識の普及とイノベーション思考の刺激を担う重要な拠点であり、内装設計ではアトリウムや東塔空間に多様な技術が導入された。2023年には中国建築工程魯班賞(国家品質工事賞)に選出され、2025年にはA'デザインアワード銀賞を受賞。社会的影響力とデザインの先進性が高く評価されている。

河南科技館の新館は、技術的挑戦と芸術的表現を両立させた現代建築の好例であり、今後の科学教育施設や公共建築の設計に多くの示唆を与える存在となっている。革新と協働の精神が息づくこのランドマークは、地域社会と未来世代に向けて、さらなる創造的発展を促すだろう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Wu Zhigang
画像クレジット: Architectural Design: Tongji University Architectural Design and Research Institute (Group) Co., Ltd Photography: Wu Shangying, taken in 2025. Video and PDF designer: Wu Zhigang. CAD plan and section designers: Zhu Yuan, Xiao Kun, 2022. CAD graphic designers: Wang Hongbin, Song Zhenhua, 2022. Rhino model designer: Wei Jingchao, 2021. Architect Assistant: Zhou Hu.
プロジェクトチームのメンバー: Wu Zhigang
プロジェクト名: Technology Museum
プロジェクトのクライアント: Kanglida Decoration Co., Ltd Wu Zhigang


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