都市の上に浮かぶ、光と静寂のミニマルレジデンス

機能美と開放感が共存する、珠北の新しい住まいのかたち

台湾・新竹市珠北の高層階に位置する「I Land」は、都市の喧騒から一歩離れた静けさと、パノラマの自然光を享受するミニマリストのためのレジデンスです。エンジニアの施主が求めたのは、一過性のトレンドに左右されない、理性的かつ時代を超える住空間。その要望に応え、デザイナーのYu Fen Leeは、流れるような動線と光の移ろいを最大限に活かしたオープンプランを実現しました。

このプロジェクトの最大の特徴は、空間全体を貫く「中央軸」にあります。配管や収納を一体化したシステムが、眺望を妨げることなく、ソーシャルエリアとプライベートエリアを“N字型”の収納構造で緩やかに分節。ソフトクローズ金具を隠すことで、ミニマルな美しさを損なうことなく、機能性とデザイン性の両立を実現しています。玄関の曲線キャビネットが来訪者をやさしく迎え、視線を自然にオープンスペースへと導きます。

素材選びにもこだわりが光ります。ミネラルテクスチャーの左官仕上げ壁は、マットな質感で光を柔らかく拡散し、艶やかなタイル床とのコントラストを生み出します。キャビネットには明るいKD木目調突板を採用し、石目調タイルや金属、ガラスと組み合わせることで、現代的なミニマリズムを体現。色彩は30%の低彩度トーンと70%の無彩色で構成され、落ち着きと奥行きのある空間を演出します。

145平方メートルの広さを活かし、「ゼロからの再構築」をコンセプトにレイアウトを刷新。キッチン・ダイニング・リビング・書斎を一体化したソーシャルエリアは右側に、親世帯と子ども部屋を配したプライベートエリアは左側に配置。家族の交流と個々のプライバシーを両立し、ラグジュアリーなクラブのような雰囲気を醸し出します。

収納計画にも革新性が見られます。オープンプランの中に、目に見えない「ポケット型」収納を巧みに組み込み、動線や光を遮ることなく、整然とした生活空間を実現。入居後、家族からは「十分な収納がありながら、空間がすっきりと美しく保たれている」と高い評価を得ています。山並みと都市景観を一望できる開放感は、日々の暮らしに安らぎと活力をもたらします。

設計の過程では、十分な収納量とパノラマの採光を両立させるという課題に直面。従来の収納方法では光や動線が阻害されがちですが、N字型キャビネットシステムにより、前後両面からアクセス可能な収納ゾーンを設け、空間の美しさと機能性を損なうことなく解決しています。2025年、A' Design Awardインテリア部門でブロンズ賞を受賞した本作は、アート・サイエンス・デザイン・テクノロジーの融合による生活の質向上を体現しています。

「I Land」は、都市のエネルギーと静謐なリトリートを融合し、時代を超えて愛される住まいの新たな可能性を提示します。ミニマリズムの本質を追求するこの空間は、機能美と心地よさを両立させ、住む人の人生に寄り添いながら、日々進化し続けます。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: YU FEN LEE
画像クレジット: Yujian.studio
プロジェクトチームのメンバー: YU-FEN LEE
プロジェクト名: I Land
プロジェクトのクライアント: Yujian.studio


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