伝統と現代性が織りなす新しいビジュアルアイデンティティ

中国結びの美学がブランド「Base」に息づく

中国の伝統工芸「中国結び」から着想を得たビジュアルアイデンティティが、シンガポール発ブランド「Base」によって現代的に再解釈され、宗教用品の新たな価値を提案している。

「Base」のビジュアルアイデンティティは、仏教や道教に深く根ざした中国結びの精緻な工芸からインスピレーションを受けている。中国結びは、団結や幸運の象徴とされ、世代を超えて受け継がれてきた。この伝統的なモチーフを現代的な美意識で再構築することで、ブランドは文化遺産の継承と現代デザインの融合を実現している。

ロゴは中国結びの織り構造をモチーフに、さりげなくアルファベットの「b」を組み込むことで、継続性と伝統の象徴を表現。繰り返しのパターンは信仰の循環性を示し、始まりと終わりが一体となる世界観を体現している。ブラック、レッド、ゴールドを基調とした洗練されたカラーパレットは、優雅さと伝統を両立し、ブランドの存在感を際立たせている。

このアイデンティティは、デジタルデザインと伝統文化のリサーチを融合させて開発された。ロゴやパターンはベクター形式で設計され、拡大縮小にも耐える精度を実現。パッケージやウェブサイト、環境ブランディングまで多様な媒体で一貫した表現が可能となっている。タイポグラフィも印刷・デジタル双方での可読性を追求し、環境配慮型のパッケージ素材を採用している点も特徴だ。

ブランド体験は、あらゆる接点で統一感を持って設計されている。織りパターンとカラーパレットは即座にブランドを認識させ、スケーラブルなロゴは用途を選ばず鮮明さを保つ。パッケージは伝統と現代性のバランスを取り、宗教用品を新世代にも親しみやすく、視覚的に魅力的なものへと昇華させている。

「Base」のプロジェクトは2024年8月に上海で始動し、シンガポール市場向けに開発された。文化研究や消費者インサイト、素材探求を組み合わせ、歴史的なアーティファクトの分析や宗教実践者へのインタビュー、現代デザイントレンドの調査を通じて、伝統と現代性の架け橋となるアイデンティティを構築。世代を超えて共感を呼ぶブランド体験を実現している。

この取り組みは、伝統的な宗教用品が持つ重厚な装飾性と、現代ブランディングのミニマリズムとの間でバランスを取ることが最大の課題だった。深いリサーチとデザイン原則の応用により、文化的な本質を損なうことなく、洗練された現代的な表現を実現。2025年にはA' Graphics, Illustration and Visual Communication Design Awardのブロンズ賞を受賞し、技術力と創造性、社会的価値の高さが国際的に評価されている。

「Base」は、伝統を守りながらも未来へとつなぐデザインで、宗教用品の新たな可能性を切り拓いている。文化的遺産を現代のライフスタイルに溶け込ませるこのアプローチは、今後のブランドデザインにおける重要な指針となるだろう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Lance Francisco
画像クレジット: Lance Francisco
プロジェクトチームのメンバー: Lance Francisco
プロジェクト名: Base
プロジェクトのクライアント: Lance Francisco


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