ジョイス・リーによる『See Our Moonlight Revels』は、シェイクスピアの名作『夏の夜の夢』に登場するタイタニアを、1920年代のフラッパーとして蘇らせることで、時代を超えた女性像を提示している。フラッパーは、当時の社会規範に挑戦し、自由と自立を象徴した存在であり、タイタニアの反抗的で母性的な側面と見事に共鳴する。
このデザインの最大の特徴は、動きによって表情を変えるパラッツォパンツにある。静止時にはスカートのように見え、動き出すとパンツの構造が現れる仕掛けが施されている。1920年代、女性がパンツを着用することは革命的な行為であり、自由と進歩の象徴だった。このデザインは、タイタニアの二面性と、女性の役割が変化する様子を巧みに表現している。
素材にはイリディセントシルクシフォンとポリエステルサテンを組み合わせ、軽やかさと優雅さを両立。手作業でカットされたラッフルやシードビーズがパンツにあしらわれ、動くたびに小さな妖精たちが舞うような幻想的な輝きを放つ。シルクシフォンの軽やかさが、タイタニアの繊細で感傷的な魅力を際立たせている。
衣装は2ピース構成で、アメリカサイズ4。舞台上で静止しているときはドレスのような印象を与え、動き出すとパンツの機能性が現れるため、ダンスやパフォーマンスにも最適。手縫いのビーズが舞台照明に反射し、立体感と奥行きを生み出す。着用者の動きによって異なる表情を見せることで、タイタニアの微妙な感情の変化をも表現する。
この作品は、バンクーバーで制作され、徹底したリサーチのもと、1920年代のファッションと『夏の夜の夢』のタイタニア像を融合。ヴィンテージのVogueイラストやデジタルアーカイブ、専門書などを参考に、歴史的な正確さと独自の視点を両立させている。フラッパーの持つ自由な精神と、タイタニアの優雅さが現代的に再構築されたデザインは、女性の強さとしなやかさを新たな形で提示している。
『See Our Moonlight Revels』は、2025年A'デザインアワードのファッション部門でIron賞を受賞。実用性と革新性を兼ね備えたこの作品は、時代を超えて女性の魅力と可能性を讃えるコスチュームとして高く評価されている。
プロジェクトデザイナー: Joyce Li
画像クレジット: Photographer: Liz Dungate
Model: Lizbell Agency
Hair: Eros Liu
Make Up: Oz Zandiyeh
プロジェクトチームのメンバー: Joyce Li
プロジェクト名: See Our Moonlight Revels
プロジェクトのクライアント: Joyce Li