都市と自然が融合する深圳・坑梓消防署の革新的デザイン

U字型中庭と標準化設計が生み出す新たな消防署像

深圳市坪山区の主要交差点に位置する「坑梓消防署」は、都市の高密度環境と自然景観を最大限に活かし、消防活動と快適な生活空間を両立させる先進的な建築として注目を集めている。

「坑梓消防署」は、Zhong ZhongとZhong Botao率いるデザインチームによって設計され、標準化と個性化を融合したアプローチが特徴である。敷地は約5,960㎡の不規則な台形で、東西に広がる都市緑地に囲まれ、北側は住宅地、南側は主要道路と高速鉄道が隣接する。こうした立地条件を活かし、広い視界と開放感を持つ設計が実現された。

最大の特徴は、消防署としては珍しい大規模なU字型中庭を採用した点にある。この中庭は、消防士の活動スペースを最大化し、働く環境と生活の質を大きく向上させている。さらに、周囲の「呼吸する空間」を確保することで、都市の中に自然と調和したオアシスのような存在感を放っている。

建築技術面では、外壁に気泡コンクリートや鉄筋コンクリートを使用し、窓には断熱性の高いLow-Eガラスを採用。U字型のレイアウトにより、消防車の迅速な出動や訓練場・運動施設の配置が最適化されている。1階にはエントランスホールや食堂、空気ボンベ充填室、2階には消防士の当直室やオフィス、3階には運用・補助室が設けられ、屋上庭園も複数配置されている。

本プロジェクトは、「2014年深圳消防署標準化設計ワークショップ」や関連ガイドラインに基づく研究成果を反映し、深圳市の消防署建設の新たなベンチマークとなった。敷地形状や都市の高密度環境という課題を乗り越え、標準化と個別ニーズを両立した設計は、今後の全国的な消防署建設にも大きな影響を与えると評価されている。

その革新性と社会的貢献が認められ、「坑梓消防署」は2025年A'デザインアワード建築部門でブロンズ賞を受賞。都市と自然、機能性と快適性を高次元で融合させたこのプロジェクトは、未来の公共建築のあり方を示す好例となっている。

都市生活の安全と質を高めるための建築デザインが、今後どのように発展していくのか。「坑梓消防署」の事例は、建築とライフスタイルの新たな可能性を示唆している。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: SUIADR
画像クレジット: Inter_mountain
プロジェクトチームのメンバー: Chief designer: Zhong Zhong, Zhong Botao Design team: Zhong Zhong, Zhong Botao, Bai Yixin, Zhong Haihuan, Meng Meili, Wei Xianqiong, Li He, Hou Jian, Wang Hongyue, Guo Hao, Liu Zhongping, Wang Weifang, Liu Mu, Tang Jin
プロジェクト名: Kengzi Shenzhen
プロジェクトのクライアント: SUIADR


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