「Blarney」は、従来のアイリッシュパブの重厚な装飾を一新し、モノクロームの壁画と機能的な家具で構成されています。壁画には、ブレーニー城や四つ葉のクローバー、ハープなどアイルランド文化を象徴するモチーフが描かれ、ギネスビールやアイリッシュウイスキーのポスターもアートとして再解釈されています。これにより、訪れる人々にアイルランドの雰囲気を感じさせながらも、洗練された現代的な印象を与えています。
最大の特徴は、時間帯によってカフェとパブの顔を切り替えるカウンター裏のキャビネットです。ピボット式の扉を採用し、朝はカフェ用品、夜はアルコール類を見せることで、空間の用途を柔軟に変化させます。この仕組みにより、早朝から深夜まで幅広い客層に対応し、ビジネスモデルの拡張を実現しています。
内装はドライウォール技術を用い、三層構造で仕上げられています。下部はセメント系素材、中部は錆びた金属調のシート、上部は天井と同じグレーの壁紙で統一。間接照明が各層を分け、壁画は錆びた金属シートの上に直接描かれています。この構成が、シンプルながらも温かみのある空間を創出しています。
店舗は台形に近い形状で、二面が共用通路に面しています。キッチンは角に配置され、カウンターが長い壁沿いに延び、終端には通勤客向けのコーヒーマシンが設置されています。ホール内のテーブルはすべてカウンターと同じ高さに揃えられ、狭い空間でも快適な動線を確保しています。
「Blarney」は、厳しい営業時間規定に対応するため、カフェとパブ双方の機能と雰囲気を両立させることが求められました。重厚な伝統装飾を排し、アートによる空間演出と機能的な家具を組み合わせることで、独自のアイデンティティを確立しています。このアプローチは、2025年のA'デザインアワード・ブロンズ受賞という形で高く評価されました。
「Blarney」は、伝統と革新を融合し、都市型ライフスタイルに寄り添う新たなパブ&カフェの在り方を提案しています。多様な時間帯と利用シーンに応じて変化する空間は、これからのホスピタリティデザインの指標となるでしょう。
プロジェクトデザイナー: Tetsuya Matsumoto
画像クレジット: Image #1: photographer ©Senichiro Nogami, Blarney, 2024.
Image #2: photographer ©Senichiro Nogami, Blarney, 2024.
Image #3: photographer ©Senichiro Nogami, Blarney, 2024.
Image #4: photographer ©Senichiro Nogami, Blarney, 2024.
Image #5: photographer ©Senichiro Nogami, Blarney, 2024.
プロジェクトチームのメンバー: Tetsuya Matsumoto
プロジェクト名: Blarney
プロジェクトのクライアント: The Blarney Stone