「アハルテケ」は、デザイナーのアミン・モハンマディヤリが幼少期の乗馬体験と馬の解剖学への魅力からインスピレーションを得て生まれたラウンジチェアです。その名は、トルクメン馬の名門種「アハルテケ」に由来し、馬の持つ優雅さと力強さを椅子のフォルムに巧みに反映しています。サドル(鞍)が人類最古の座具のひとつであることに着目し、乗馬の感覚とラウンジチェアの快適さを融合させたデザインが特徴です。
このチェアの最大の特徴は、座る人と椅子が双方向に作用し合う体験を生み出す点にあります。従来の受動的な「座る」行為を、能動的で新鮮な体験へと昇華。ユーザーは、まるで初めて馬にまたがった時のような高揚感と発見を味わうことができます。デザインは馬の形を直接模倣するのではなく、あくまでその本質や動きの美しさを抽象的に表現し、空間に独自の存在感を放ちます。
製作には、ヘンプやフラックス繊維とPLAバイオ樹脂を組み合わせたバイオコンポジットが採用されています。これにより、従来のガラス繊維やカーボンファイバーに代わる、持続可能で高品質な仕上がりを実現。環境への配慮と、自然素材ならではの温もりが、デザインの根底にある「自然とのつながり」を強調しています。
「アハルテケ」は、幅770mm、奥行き855mm、高さ720mmというサイズで設計され、現代の住空間に調和するプロポーションを持ちます。2023年9月から2024年9月にかけてテヘランで開発され、馬と人間の歴史的な関係性や、座るという行為の原点を再考するためのリサーチが重ねられました。馬にまたがる姿勢が人類の記憶やDNAに深く刻まれているという視点から、日常生活に新たな座り方を提案しています。
デザインプロセスでは、椅子とユーザーの間に対話的な関係を築くこと、そして美しさと機能性を両立させることが大きな課題となりました。馬の解剖学を直接的に引用せず、直感的に「乗る」感覚を呼び起こすフォルムを追求。これにより、視覚的なヒントに頼らずとも、誰もが自然に新しい座り方を受け入れられるデザインが実現しました。
「アハルテケ」は、2025年のA'デザインアワード(家具部門)でブロンズ賞を受賞。芸術性、技術力、創造性を兼ね備え、生活の質を向上させるデザインとして高く評価されています。乗馬の記憶とサステナブルな素材が融合したこのチェアは、現代のインテリアに新たな価値観と体験をもたらします。
プロジェクトデザイナー: Amin Mohammadyari
画像クレジット: Amin Mohammadyari
プロジェクトチームのメンバー: Amin Mohammadyari
プロジェクト名: Akhalteke
プロジェクトのクライアント: Amin Mohammadyari