プロジェクトBlytheは、シンガポールにある約446平方メートルの1970年代の住宅を、現代的な家族のために再設計したものである。デザイナーのBerinda Sohは、「15年以上先を見据えた機能性と美しさの両立」をテーマに、家族4人が安心して暮らせる“サンクチュアリ”を目指した。家族のライフスタイルや日々の動線を徹底的に分析し、時代を超えて快適に過ごせる空間づくりに注力した点が特徴だ。
この邸宅の最大の魅力は、オリジナルのアーチ型ドアや窓など、1970年代建築の持つ趣を活かしながら、現代的な機能性を巧みに融合させている点にある。家族が集うリビングやダイニングは開放感にあふれ、個々のプライベート空間も確保。家族の成長やライフステージの変化に応じて、柔軟に使い方を変えられる設計がなされている。
設計プロセスでは、PinterestやSNSなどのビジュアルリサーチツールを活用し、クライアントと密にコミュニケーションを取りながら理想の住まい像を具体化。既存の構造を活かしつつ、ICチャンバーや隠れた梁・柱などの制約をクリアし、耐久性の高い素材選びにも徹底的にこだわった。カスタム収納や引き出し式のキッチンエイドトレイなど、日常の使い勝手を高める工夫も随所に見られる。
デザイン面では、アースカラーを基調にブラックやパープル、ブルーをアクセントに使用。アーチ型のガラスドアからは自然光がたっぷりと差し込み、木製のテレビキャビネットや真鍮のハンドルが空間に温かみと上質さを添えている。リビングの中央にはカラカッタ・アラベスクの石材テーブル、パウダールームには個性的な照明と天然石のシンクが配され、細部まで美意識が行き届いている。
このプロジェクトは、1970年代の建築的制約を乗り越えながら、現代の家族の多様なニーズに応える住まいを実現した点が高く評価され、2025年のA' Design Award(インテリアスペース部門)Iron賞を受賞。実用性と美しさを両立させた住宅デザインの新たなベンチマークとして注目されている。
Blythe邸のような「未来を見据えた住まい」は、家族の絆や日常の豊かさを育むと同時に、住まい手の人生の変化にも柔軟に寄り添う。これからの住宅デザインに求められるのは、時代を超えて愛される普遍的な美しさと、日々の暮らしに寄り添う実用性の両立であることを、Blytheは静かに証明している。
プロジェクトデザイナー: Berinda Soh
画像クレジット: Photos by: Angela Guo
プロジェクトチームのメンバー: Berinda Soh
プロジェクト名: Blythe
プロジェクトのクライアント: Jennifer and Kevin