静謐と知の融合:現代文化を体感する多機能空間

書と光が導く、持続可能な文化拠点の新たなかたち

「Serenity」は、Chiao Yi TangとWan Shih Yangによる設計で、書道や絵画、古代の講堂から着想を得た多機能文化施設です。伝統と現代性、そして持続可能性を融合し、訪れる人々に知と静けさをもたらす空間として注目されています。

「Serenity」は、紫禁城の美学や学者たちの文人的精神を現代に蘇らせることを目指し、書や絵画、歴史的な講堂のエッセンスを空間全体に表現しています。文化遺産の継承と社会現象の反映を重視しつつ、現代の人文学や自然生態系におけるサステナビリティの課題ともリンク。施設全体に漂う静謐さとレジリエンスが、来館者に深い感銘を与えます。

このプロジェクトの最大の特徴は、博物館と世界規模のデジタル図書館を融合し、心の哲学を空間デザインに取り入れている点です。書道の流麗な線を思わせる柔らかな光と形状が、訪れる人々に穏やかな雰囲気と洞察をもたらします。思索の場としての役割を果たし、人生や世界への理解を深めるきっかけを提供します。

建築は中央の文化財展示スペースを核に、展示ホール、図書館、マルチメディアルーム、会議ホールがロビーや回廊、カフェと連結。自然光と景観を最大限に活かしつつ、温度管理や照明、音響にも配慮した設計で、健康的な素材を採用。台湾のダイヤモンド級グリーンビル認証を取得し、環境への配慮も徹底されています。

空間構成は、書道の「濃墨」「渲染」「飛白」など多様な技法を建築的に表現。「濃墨」は力強さを感じさせる造形、「渲染」は共鳴するようなダイナミックなエリア、「飛白」は自然光があふれる開放的な空間として具現化されています。これにより、各エリアが有機的につながり、来館者の体験を豊かにしています。

設計・施工は2020年11月から2024年8月まで二期に分けて行われ、総面積は約6,537平方メートル。大理石の壁や高窓、木目天井、格子構造、カララ大理石や積層石など、東洋美学と歴史的深みを感じさせる素材が随所に使われています。中央の中庭や吹き抜け階段、光と影の演出が、静けさと知の深まりを象徴します。

「Serenity」は、台湾初の大統領図書館として、歴史的資料や国内外の事例研究に基づき設計されました。Sinology(中国学)の視点から文化・歴史・レジャーを融合した新たな社会的ランドマークとして、現代人のライフスタイルに知的刺激と安らぎをもたらしています。

この施設は、2025年にA' Design Awardのインテリアスペース部門でブロンズ賞を受賞。芸術、科学、デザイン、テクノロジーのベストプラクティスを体現し、生活の質向上に寄与する革新的な空間として高く評価されています。文化の持続可能性と現代性を兼ね備えた「Serenity」は、未来の文化拠点の新たなモデルとなるでしょう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Chiao-Yi, Tang
画像クレジット: Image #1: Photographer Xiaoxiong Liangyan, Warm Welcome, 2022. Image #2: Photographer Xiaoxiong Liangyan, Tranquility, 2022. Image #3: Photographer Xiaoxiong Liangyan, Humanities Gathering, 2022. Image #4: Photographer Xiaoxiong Liangyan, Resilience, 2022. Image #5: Photographer Xiaoxiong Liangyan, Gathering of Humanities, 2022. Video Credits: RUENTEX INTERIOR DESIGN INC., 2022.
プロジェクトチームのメンバー: Chiao Yi Tang Wan Shih Yang Yu Cheng Hung
プロジェクト名: Serenity
プロジェクトのクライアント: Chiang Ching-kuo Foundation for International Scholarly Exchange


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