ゲーム感覚で音楽制作を革新するポータブルMIDIデバイスXYLO

直感的操作と懐かしさが融合した新しい音楽体験

音楽制作のハードルを下げ、誰もが気軽に楽しめる体験へと導く「Project XYLO」。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの学生プロジェクトとして誕生し、2025年にはA'デザインアワードのゴールド賞も受賞したこのプロダクトは、アート、デザイン、テクノロジーの交差点で新たな潮流を生み出している。

Project XYLOは、音楽制作をより身近で楽しいものにすることを目指して設計された、ポータブルなMIDIデバイスシリーズである。デザイナーのKevin Yangは、「音楽制作の民主化」をコンセプトに掲げ、複雑なMIDI操作を直感的かつゲーム感覚で楽しめる体験へと昇華させた。初心者から上級者まで、スキルを問わず誰でも参加できる点が大きな特徴だ。

XYLOは「サンプル」「ポケット」「ミディ」の3サイズ展開で、用途やシーンに合わせて選択可能。最大の特徴は、懐かしさを感じさせるスワップ式カートリッジと、デバイス同士をスナップして即座に同期・協奏できる点にある。これにより、個人のビートメイキングがそのまま友人とのセッションやバンド演奏へとシームレスに拡張される。

デザイン面では、半透明のシェルがレトロゲーム機を彷彿とさせる。FDMプリントによるプロトタイピングを経て、最終モデルはSLAプリントとサンドブラスト加工で独自の質感を実現。内部コンポーネントの配置や操作性も細部まで検証され、Raspberry Pi Zeroを活用したプログラム開発によって、コンパクトな筐体ながら高い機能性を両立した。

XYLOの研究開発では、音をSFX・ビート・コード・メロディの4カテゴリに分類し、テンポやハーモニーの一貫性を重視。ユーザー調査から得た「テンポの構造化がリズムの分かりやすさを高める」という知見をもとに、誰でも直感的に音楽制作を楽しめる設計思想が貫かれている。

技術的な課題も多かったが、半透明シェルのCMFテストや、限られた筐体内への電子部品配置、グラフィック性能の最適化など、数々の試行錯誤を経てプロトタイプが完成。生産化にはさらなる検討が必要だが、XYLOはすでに「音楽制作の未来」を体現する存在として高く評価されている。

Project XYLOは、音楽とテクノロジー、そして遊び心を融合させた新時代のMIDIデバイスとして、今後も多くのクリエイターや音楽愛好家にインスピレーションを与え続けるだろう。音楽制作をもっと自由に、もっと楽しく──その可能性は、ここからさらに広がっていく。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Kevin Yang
画像クレジット: Image #1: Photographer Yunmu Bai and Yan Qing, XYLO, 2024. Image #2: Photographer Yunmu Bai and Yan Qing, XYLO, 2024. Image #3: Photographer Yunmu Bai and Yan Qing, XYLO, 2024. Image #4: Photographer Yunmu Bai and Yan Qing, XYLO, 2024.
プロジェクトチームのメンバー: Kevin Yang
プロジェクト名: Project XYLO
プロジェクトのクライアント: Royal College of Art


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Project XYLO IMG #5
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