「Snow Park」は、氷湖、アイストンネル、氷の洞窟、アイスライト、アイスコーン、アイスハウスという六つのテーマシーンで構成されている。これらは中国の探検家による氷河遠征のドキュメンタリーからインスピレーションを受けており、訪れる人々に氷雪世界の冒険を体感させる設計となっている。空間全体を通じて、氷・雪・光・アートというデザイン言語が巧みに織り込まれ、テクノロジーと文化が調和するランドマーク的存在となっている。
このプロジェクトの最大の特徴は、世界最大規模の屋内スキーリゾートの展示センターである点にある。ガラス繊維強化石膏(Glass Fiber Reinforced Gypsum)を用いた流線型の壁やリボン状の照明器具は、雪や氷河の繊細な質感を忠実に再現。軽量かつ高い成形性を持つこの素材は、建設廃棄物を削減し、グリーンビルディング基準にも適合している。また、トンネルエリアには半透明のアイスジェイドストーンを採用し、自然光と影の演出で氷雪の本質を表現している。
空間演出にはホログラフィックプロジェクションやLEDスクリーン、ダイナミックライティングなどの没入型テクノロジーが活用されている。来場者はタッチスクリーンやインタラクティブなサンドボックスを通じて、氷河の知識やリアルタイムの雪景色を体験できる。視覚、聴覚、触覚を重層的に刺激する設計により、展示空間は単なる観賞の場から、五感で楽しむ冒険の舞台へと進化している。
設計上の大きな課題は、地下にある36本の構造柱と不規則な天井という制約を、いかにして没入感のある空間に変換するかだった。デザインチームは、柱を流線型のレイアウトに組み込み、照明器具で存在感を抑えることで、空間の一体感と機能性、芸術性を両立させた。雪の質感や光と影の効果、ホログラム技術を駆使し、限られた空間に壮大な氷雪世界を創出している。
「Snow Park」は、氷・光・アートのデザイン言語を通じて、都市のイノベーションと氷雪文化を融合。柔軟な空間構成により、展示から商業利用へのシームレスな転換も可能で、経済的・文化的価値の持続的な創出を実現している。氷雪観光産業の発展を牽引し、気候変動や持続可能性への意識向上にも寄与する本プロジェクトは、2025年A' Design Awardプラチナ賞を受賞し、時代を象徴する革新的な空間デザインとして高く評価されている。
「Snow Park」は、深圳の都市文化と氷雪の美学を結びつけ、来場者に新たな体験価値を提供する。氷雪世界への没入体験を通じて、未来志向のライフスタイルとサステナブルな観光の可能性を提示している。
プロジェクトデザイナー: Kris Lin
画像クレジット: Kris Lin International Design
プロジェクトチームのメンバー: Kris Lin
プロジェクト名: Snow Park
プロジェクトのクライアント: Zhuhai Huafa Group Co., LTD