「Te Po And Te Ao Marama」は、コロナ禍による社会的分断や文化的孤立を乗り越える創造的なプロセスを探求するために生まれた。デザイナーのKyra Clarkeは、招待した実践者たちに対し、隔離期間中の内省や成長をどのように表現するかを問いかけた。その結果、マオリの「Te Ao Marama(光の世界)」と「Te Po(夜の領域)」という対照的な概念をビジュアルで結びつけ、孤独から生まれる再生の物語を誌面に落とし込んでいる。
本誌の最大の特徴は、マオリの価値観とコラボレーションの枠組みに根ざした構造にある。ナビゲーションシステムはマオリの歌「Ko te Pu」に基づき、ビジュアル、拡張現実(AR)、サウンドデザインを組み合わせて多層的な「始まりの物語」を伝える。特にZ字型のカバーは「Te Kore(虚無)」の象徴であり、物理的にも比喩的にも「Te Po」と「Te Ao Marama」を繋ぐ役割を果たしている。
制作面では、サウンドアーティストやARデザイナーの協力により、誌面に命を吹き込む仕掛けが随所に施されている。QRコードを読み込むことで、読者はビジュアルや音響のアートワークを体験でき、紙媒体とデジタルが融合した没入型の読書体験が実現されている。これにより、存在と非存在の狭間を象徴するマオリの哲学が、視覚・聴覚・空間的に表現されている。
本プロジェクトは、Aucklandで2021年1月に始動し、2022年5月に完成。Threaded Magazineの編集方針は、マオリの価値観や哲学を根幹に据え、ローカルとグローバルの実践者たちの視点を融合させることにある。各インタビューや寄稿は、個人と協働による意味づけのプロセスを探求し、批評的な対話を誌面に展開している。
「Te Po And Te Ao Marama」は、伝統文化と最新技術の融合によって、出版デザインの新たな可能性を切り拓いた。マオリの知恵と現代的な表現が交差する本作は、今後のクリエイティブ業界における多文化共生とイノベーションのモデルケースとなるだろう。
プロジェクトデザイナー: Kyra Clarke
画像クレジット: Kyra Clarke
プロジェクトチームのメンバー: Design Director: Kyra Clarke
Creative Director: Fiona Grieve
Associate Editors: George Hajian and David Conventon
Guest Contributors:
Ataria Gibbons
Karyn Gibbons
Tepora Kauwhata
Kawiti Waetford
Jesse Waetford
Guest Sound Artist: Maree Sheehan
Guest Illustrator/ AR Designer: Tatiana Tavares
Guest Photographer: Marcos Steagall
Research Assistant: Aakifa Chida
Featured Designers:
ĀKAU, Aotearoa
Alexis Neal, Aotearoa
Alistair McCready, Aotearoa
Curative, Aotearoa
Derek Yates, UK
Henrik Drescher, USA
James Goggin, Aotearoa
Jeremy Tankard, UK
Katie Kerr, Aotearoa
Michael Worthington, USA
Naïma Ben Ayed, UK
Shivani Parasnis, USA
Studio FM Milano, Italy
Tatiana Tavares, Aotearoa
The Panty Bag Collective, Aotearoa
Wing Yee Wu, USA
プロジェクト名: Te Po and Te Ao Marama
プロジェクトのクライアント: Kyra Clarke