農とクラフトが融合する新感覚フードスケープカフェ、名護アグリパーク

地域資源と手仕事が生み出す体験型空間の魅力

沖縄・名護の豊かな自然と農業を体感できる「名護アグリパーク」は、農産物の第六次産業化支援施設としてリノベーションされ、2025年にA' Design Award Silverを受賞した注目のプロジェクトです。農とクラフト、グリーンをテーマに、地元の素材と職人技を活かした空間デザインが、訪れる人々に新しい食と自然のつながりを提供しています。

名護アグリパークは、既存の温室を最大限に活用しながら、農業を身近に感じられる空間へと生まれ変わりました。設計を手がけた冨山浩一氏は、「FARM & CRAFT」をコンセプトに掲げ、木材や土、ジュートなど農業を想起させる素材を随所に取り入れています。天井には麻布が柔らかくかかり、柱にはヘンプロープが巻かれるなど、手仕事の温もりが感じられるディテールが特徴です。

この施設の最大の特徴は、「フードスケープ(FOOD + LANDSCAPE)」という新しい体験型カフェの提案です。カフェスペースには食用植物が配置され、来場者は地元産のコーヒーやフルーツジュースを味わいながら、食と景観が一体となった空間を五感で楽しむことができます。屋内外のグリーンとアースカラーの家具が調和し、自然と人、食が有機的につながる場を創出しています。

施工面では、限られた予算の中で最大限の効果を出すため、麻布やヘンプロープといったコストパフォーマンスに優れた素材を選定。カウンター壁面には地元の土を使った左官仕上げを施し、地域の職人と協働することで、土地の個性を空間に反映させました。また、屋外には建築と家具の中間的な役割を果たすタイルベンチを新設し、空間と座る場所の一体感を高めています。

このプロジェクトは、農業と観光、地域住民と生産者をつなぐ新たなハブとしての役割も担っています。ユネスコ世界自然遺産に指定されたやんばる地域の自然資源を活かし、農産物の新しい価値創出と体験型観光の可能性を広げています。オリジナルのアンビエント音楽も導入されており、五感で楽しむ総合的な空間体験が実現されています。

名護アグリパークは、地域の素材と手仕事、そして自然との共生を体現した空間デザインの好例です。農とクラフトが織りなす新しいライフスタイル体験は、今後の地域活性や観光のモデルケースとして注目されるでしょう。沖縄を訪れる際は、ぜひこの革新的なフードスケープカフェで、食と自然の新しい関係性を体感してみてはいかがでしょうか。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: koichi tomiyama
画像クレジット: Image #1-5 and Video : Photographer Akinori Tanaka
プロジェクトチームのメンバー: Designer : Koichi Tomiyama, Shusaku Nomiyama Foodscape : Kazuki Ito, Robyn Natsuko Shinozaki Producer : Takashi Hagimoto,Yuichi Asa
プロジェクト名: Nago Agri Park
プロジェクトのクライアント: OKINAWA JTB Corp.


Nago Agri Park IMG #2
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