SEER Roboticsが開発した「Seer Robotics」は、車輪付きヒューマノイドロボットとして、タスクに応じて自律的に動作モードと作業モードを切り替えることができる点が大きな特徴だ。移動時には姿勢を低くして最高時速10mで高速移動し、作業時には姿勢を高めて多関節アームや手、シャーシの協調動作により多様なタスクを効率的にこなす。この柔軟性が、複雑な産業シーンでの汎用性を飛躍的に高めている。
本体はアルミ合金とPEEK素材で構成されており、ガラス転移温度は140℃を超え、最大260℃までの高温環境でも長時間稼働できる。これにより、製鉄所などの過酷な産業現場や高温地域での運用も可能となった。さらに、レーザーセンサーには防曇コーティングが施されており、-25℃から60℃までの広範囲な温度帯で安定した動作を実現している。
ユーザーは自然言語や専用アプリで「水の入ったカップを取ってきて」などのタスクを指示できる。システムはセマンティック情報を付加した3Dマップを自動生成し、必要に応じてグリップアームやカメラなどのモジュールを組み合わせて動作パラメータを調整。タスクが割り当てられると、ロボットはマップを活用して障害物を回避しながら目的を達成する。
設計面では、アームの関節やコアコントローラーに透明パーツを採用し、スタッフによるメンテナンス性を向上。モジュール化されたアームとハンドは迅速な交換を可能にし、堅牢な幾何学的デザインが安定感と力強さ、そして未来的な美学を体現している。産業用ロボットとしての信頼性と先進性を両立させた点が高く評価されている。
最大の技術的課題は、産業グレードのAI学習データの蓄積だった。SEER Roboticsは10年以上にわたる研究開発で、動的経路計画や非標準的な把持技術、異常時の対応などの実行データを独自データベースに記録。これにより、適応学習能力を持つ二足走行型ヒューマノイドロボットの実用化を大きく前進させた。
「Seer Robotics」は2024年1月に上海で開発を開始し、同年8月に完成。9月には上海国際工業博覧会で公開され、2025年には世界的なデザイン賞であるA' Design Awardのロボティクス部門でシルバー賞を受賞した。産業現場の未来を切り拓くイノベーションとして、今後の展開に大きな期待が寄せられている。
プロジェクトデザイナー: Fan Wu
画像クレジット: Shanghai Seer Intelligent Technology Co.,Ltd.
プロジェクトチームのメンバー: Wu Fan
プロジェクト名: SEER Robotics
プロジェクトのクライアント: Shanghai Seer Intelligent Technology Co.,Ltd.