野生動物の本能を形にした森のアートインスタレーション

台湾産素材と生態模倣で生まれる新しい公共空間

「Nesting Plan VII Formosan Wild Boar」は、台湾花蓮の大農大富森林公園に設置されたパブリックアート作品です。Into the Woods and Co.(チェン・ツンフェン氏率いる)が手掛けた本作は、台湾固有種であるタイワンイノシシの巣作り本能をヒントに、地元産の木材と竹を用いて、訪れる人々が自然と一体になれる空間を創出しています。

この作品は、イノシシが巣を作る際の行動や素材選び、構造的な工夫を人間の建築技術で再解釈したものです。台湾杉やマキノ竹など、地元で調達した素材を用いることで、台湾の自然環境と調和しながら、アートと建築の新たな可能性を提示しています。設計過程では、デジタル計算と精密な構造設計を駆使し、竹や木材の特性を活かしつつ、安定性と美しさを両立させました。

「Nesting Plan VII Formosan Wild Boar」は、花蓮の森林公園の生態系に根ざした作品です。イノシシの巣作り本能、特に干し草や枝を使い、鼻先を入口に向けて警戒する姿勢をデザインに反映。C字型のベンチは、利用者が自然と入口を向くよう配置され、動物の本能的な警戒心を体験的に表現しています。

このインスタレーションは、単なるアート作品にとどまらず、訪れる人々のための半屋外型の休憩スペースとしても機能します。曲線状のベンチに腰掛けることで、森の中でイノシシが感じている「警戒」と「安らぎ」の両方を体感できる設計です。地元産素材の使用は、台湾のアーティストや建築家が美的・実用的理由から敬遠しがちな課題に挑戦し、サステナビリティと地域性を強調しています。

制作にあたっては、タイワンイノシシの巣作り行動を徹底的にリサーチ。現地観察や専門家へのインタビューを通じて、台湾杉やマキノ竹の持つ可能性と課題を洗い出し、環境意識の向上とエコロジカルデザインの融合を目指しました。伝統的な木組み技術とデジタル設計の融合が、独自の空間体験を生み出しています。

本作品は、2025年A'デザインアワードのファインアート&アートインスタレーション部門でシルバー賞を受賞。優れた技術力と芸術性、そしてイノベーションが高く評価され、訪れる人々に驚きと感動をもたらしています。

「Nesting Plan VII Formosan Wild Boar」は、自然と共生しながら新たな公共空間のあり方を提案するアートインスタレーションです。台湾の素材と生態を活かしたデザインが、地域の魅力と持続可能な未来への意識を高めています。今後も、こうした取り組みが世界中の公共空間やアートシーンに新たなインスピレーションを与えることが期待されます。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Into the Woods & Co.
画像クレジット: Image #1-#5: FIXER Photographic Studio, Taiwan.
プロジェクトチームのメンバー: Producer: Hualien Branch, Forestry and Nature Conservation Agency Project Director: Into the Woods & Co. Artist: Cheng Tsung FENG
プロジェクト名: Nesting Plan VII Formosan Wild Boar
プロジェクトのクライアント: Hualien Branch, Forestry and Nature Conservation Agency


Nesting Plan VII  Formosan Wild Boar IMG #2
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Nesting Plan VII  Formosan Wild Boar IMG #5
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