中庭を現代に蘇らせる「Outside In」住宅の革新

伝統と現代性が融合した都市型住宅の新たな提案

イランの伝統的な中庭住宅を現代都市に適応させた「Outside In」は、自然とのつながりと快適な住環境を両立させる革新的な建築デザインとして注目を集めている。

「Outside In」は、Seyedjalil Mousavi率いるMAofficeが手がけた、伝統的なイランの中庭を現代都市住宅に再解釈したプロジェクトである。限られた敷地と都市の制約を受けながらも、中央にガラスのキューブを配置し、その周囲を緑で囲むことで、屋内外の境界を曖昧にし、自然と一体化した生活空間を実現している。この設計思想は、中庭を単なる装飾的な要素から、年間を通じて機能する居住スペースへと昇華させている。

この住宅の最大の特徴は、220平方メートルというコンパクトな敷地においても、垂直・水平方向に中庭を拡張し、各階をつなぐデュプレックス構造を採用している点である。ガラスのキューブを中心に据えたことで、自然光や通風を最大限に取り入れ、都市生活においても自然とのつながりを感じられる空間を創出している。さらに、緑豊かな壁や中央の吹き抜けが、開放感と快適性を両立させている。

建材にもこだわりが見られる。外壁には伝統的なアッバース・アバード石を用い、床にはマーブルストーンを採用。自然木のドアや熱遮断性能を持つ窓を組み合わせることで、伝統美と現代的な機能性、そしてサステナビリティを高い次元で融合させている。これにより、エネルギー効率の向上と快適な住環境の両立が実現されている。

設計の過程では、ハメダンの歴史的な住宅の調査や敷地条件、施主の要望を綿密に分析し、文化的背景と現代的ニーズをバランスよく反映させた。都市型住宅における中庭の再定義という課題に対し、ガラスキューブと緑の融合による「Outside In」アプローチは、従来のレイアウトを凌駕する機能性と居住性を実現している。

このプロジェクトは、2025年のA'デザインアワード建築部門でブロンズ賞を受賞しており、創造性と技術力、そして生活の質の向上に貢献するデザインとして高く評価されている。写真撮影はMohammad Hassan Ettefaghが担当し、MAofficeのチームによる緻密な設計と施工が光る。

「Outside In」は、都市の限られた空間でも自然と調和した豊かな暮らしを実現する新しい住宅の在り方を提案している。伝統の再解釈と現代技術の融合が、これからの都市型住宅に新たな可能性をもたらすだろう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: MA Office
画像クレジット: All design credits for this project belong to MA office, where our team crafted the concept and execution. photographs capturing the essence of the design are credited to the Mohammad Hassan Ettefagh.
プロジェクトチームのメンバー: Seyed Jalil Mousavi Akam Katoorani Sepehr Edalati Morafah Atefe Safakish Alireza Moradi Meshkin
プロジェクト名: Outside In
プロジェクトのクライアント: Moradi Family


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Outside In IMG #5
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