サリイェル邸の設計は、住まい手のライフスタイルや価値観を深く理解することから始まった。Somas Architectureは、ヒアリングやディスカッションを重ね、住まい手の美意識や機能的ニーズを的確にデザインへと反映。特に、環境への配慮やエネルギー効率、持続可能な素材の選定が重視され、これらが長期的なコスト削減と快適な暮らしを両立させている。
地域性もデザインの大きな指針となった。イスタンブールの気候や建築規制、周辺環境に合わせて、自然光の最大活用や風通しの良いレイアウトが工夫されている。例えば、冬のガーデンには大きな天窓を設け、自然光をふんだんに取り込むことで、室内空間がより開放的で健康的なものとなった。
インテリアでは、住まい手の趣味や歴史的なつながりが随所に表現されている。アンティークの銀製アクセサリーやアート作品、手作りのオブジェが空間に個性を与え、単なる機能性を超えた「住む人の物語」を感じさせる。特にキッチンには、バターイエローのキャビネットやダークウッドのバーカウンターが配され、クラシックと現代が調和する温かみのある空間が生まれている。
照明設計にも独自性が光る。単なる明かりではなく、空間の雰囲気やムードを演出するために、特注のシャンデリアやアート性の高いウォールランプが効果的に配置されている。近年注目されるレイヤード照明の手法を取り入れ、時間帯やシーンごとに多様な表情を楽しめるのが特徴だ。
「意図的マキシマリズム」という設計思想のもと、色彩や素材、ディテールを重ねることで、過度なミニマリズムとは一線を画す豊かな住空間が実現。ビオフィリックデザインの考え方も取り入れ、自然とのつながりを象徴するグリーンやブラウンの壁紙、リーフ型照明などが、居心地の良さと感情的な温かみをもたらしている。
サリイェル邸は、2025年A'デザインアワードのインテリア部門でアイアン賞を受賞。業界のベストプラクティスと技術的な完成度を兼ね備えた、実用性と美しさを両立する住宅として高く評価されている。時代を超えて愛される住まいの新しいスタンダードを提示する本プロジェクトは、今後の住宅デザインに大きな示唆を与えている。
プロジェクトデザイナー: SOMAS ARCHITECTURE
画像クレジット: SOMAS ARCHITECTURE
プロジェクトチームのメンバー: Serra Muftuoglu - Interior Designer / Creative Director
Okan Muftuoglu - Architect / Project Manager
プロジェクト名: Sariyer Project
プロジェクトのクライアント: Somas Architecture