上海の未来を形作る「上海クラウド」デジタル知能センター

産業遺産がスマートシティの中核へと進化する再生建築

FTA Groupによる「上海クラウド」は、北上海ハイテクパークの旧工場を最先端のデジタル知能センターへと再生し、都市の未来生産性を象徴するランドマークとして注目を集めている。

「スーパーインポーズド・キューブ(重ね合わされた立方体)」という建築モチーフが全体を貫く本プロジェクトは、歴史ある工場跡地に新たな命を吹き込み、産業化から知能化への地域再生を推進している。建物は複数のキューブ状ブロックに分割され、都市の中で孤立しない柔軟で調和のとれた空間を創出。各キューブ内には立体的なネットワークと垂直型コミュニティが形成され、偶発的な交流や創造が生まれる場となっている。

北上海ハイテクパークという立地を活かし、プロジェクトは新しいスマートシティの核として機能。高さ100メートルを超えるデータセンターや5Aオフィスビルが、旧・彭浦機械工場の構造を継承しつつ成長している。建築形態のずれや重なりによって生まれるテラスやスカイガーデン、屋外中庭は、コミュニティに温かみをもたらし、クリエイティビティが自然に生まれる環境を実現している。

都市交通への影響を最小限に抑えるため、高層棟は敷地境界に沿って配置され、都市景観とスカイラインの連続性を確保。2棟のタワーは上部の空中回廊で結ばれ、内部空間の一体感を高めている。旧工場部分には構造補強や赤レンガ外壁の修復、金属・ガラス屋根の新設など「新旧融合」の手法が採用され、歴史的価値と現代性が共存する空間が誕生した。

新築部分は3棟構成で、総延床面積は27万平方メートル、最高高さは130メートルに達する。西側2棟は100メートル上空の回廊で連結され、63メートルのスパンを実現。改修後の工場棟は1万6,000平方メートルの広さを持ち、大規模なファサードと長大スパンの鉄筋コンクリート構造が、内部空間に無限の可能性をもたらしている。

多様な企業規模や業種に対応する柔軟なオフィス空間、高水準の研究開発ラボ、さらに受付・会議・展示・ブランドプロモーションなど多機能な施設を提供。米国の先進事例を参考に「知恵」をパークの魂と位置付け、ビッグデータを活用した産業クラスターの形成と、資本・産業チェーンの上下流企業の深い統合を実現している。

上海の中心部で開発可能な大規模用地が極めて希少な中、FTA Groupは「正方形から立方体への拡張」という独自のアイデアを提案。市文化観光局や社会科学院、歴史博物館など多くの専門家から高い評価を受け、歴史的構造と現代的要素を融合した新たな都市再生モデルを築き上げた。

「上海クラウド」は、産業遺産の価値を最大限に活かしつつ、スマートシティの中核として都市の未来を切り拓く象徴的な存在となっている。都市再生や産業融合に関心を持つ読者は、今後の都市開発の新たな可能性をこのプロジェクトから感じ取ることができるだろう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: FTA Group
画像クレジット: Image #1-5: Photographer Ai Qing, CreatAR Images, 2024
プロジェクトチームのメンバー: FTA Group, Architectural design FTA Group, Planning
プロジェクト名: Shanghai Cloud
プロジェクトのクライアント: FTA Group


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