上海の歴史的建築を彩る「Mystical Serpent」光のインスタレーション

東西文化が交差する蛇伝説が現代アートで蘇る

「Mystical Serpent」は、上海の百年建築のファサードを舞台に、古代中国とローマの蛇伝説を融合させた革新的なライトアートインスタレーションです。2025年の干支「蛇年」を記念し、伝統と現代性、東洋と西洋が交差するユニークな芸術体験を提供しています。

「Mystical Serpent」は、Phaidesignによる光のアートインスタレーションであり、古代中国の蛇神「燭龍」とローマの守護蛇の伝説からインスピレーションを得ています。燭龍は昼夜を司り、永遠の命を象徴し、ローマの守護蛇は家庭の守り神とされてきました。この二つの神話を融合することで、再生や保護、そして生命の連続性という普遍的なテーマが表現されています。さらに、東西文化の交差点である上海という都市の精神を体現し、文化的な対話の場を創出しています。

インスタレーションの最大の特徴は、百年の歴史を持つ建築のファサードを大胆に変貌させる点にあります。直径1メートル、全長7~14メートルに及ぶ3Dインフレータブル(空気注入型)の蛇体が、建物の窓や壁面を縫うように絡み合い、地面から壁へと空間をつなぎます。壁面には擬似3D効果を持つプリントファブリックやガラスステッカーが施され、建物全体に新たな立体感とダイナミズムをもたらします。

この作品は、リサイクル素材を活用した環境配慮型の設計が特徴です。蛇の体表には中国の吉祥文様やローマの伝統的なモチーフ(蛇鱗や牡丹など)が組み合わされ、色彩やパターンの工夫によって東西の美意識が一体化。夜間には照明が点灯し、幻想的な光と影の演出が街並みに新たな命を吹き込みます。

「Mystical Serpent」は、建物と地面をまたぐスケール感と、来場者が写真撮影や観察を通じて直接作品と関わることができるインタラクティブな設計が魅力です。特に、上海の伝統的な路地空間を祝祭の中心へと変貌させ、地域コミュニティの一体感や多様な人々の交流を促進しています。昼夜で異なる表情を見せる照明デザインは、機能性と芸術性を兼ね備えています。

本プロジェクトは、2024年10月に着手し、12月に完成。2025年1月より上海で一般公開されました。Phaidesignのクリエイティブディレクター楊偉傑氏をはじめ、デザイナー羅潔文氏、苗林輝氏、李彦龍氏らがチームとして参画。文化的リサーチや技術的課題を乗り越え、空間・グラフィック両面で東西の伝統を現代的に再解釈しています。

「Mystical Serpent」は、2025年A'デザインアワードのファインアート&アートインスタレーション部門でプラチナ賞を受賞。時代の美学を牽引し、社会的なウェルビーイングにも貢献する世界最高峰のデザインとして高く評価されています。伝統と革新、地域と世界をつなぐ新しい公共アートの形が、ここ上海から発信されています。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Weijie Yang
画像クレジット: Image #1:Photographer DXIN,Mystical Serpent 1,2025. Image #2: Photographer Qiao Wu, Mystical Serpent 2,2025. Image #3: Photographer Qiao Wu, Mystical Serpent 3,2025. Image #4: Photographer Qiao Wu, Mystical Serpent 4,2025 Image #5: Photographer Qiao Wu, Mystical Serpent 5,2025.
プロジェクトチームのメンバー: Creative Director: Weijie Yang Designer: Jiewen Luo Designer: Linhui Miao Designer: Yanlong Li
プロジェクト名: Mystical Serpent
プロジェクトのクライアント: The Inlet


Mystical Serpent IMG #2
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Mystical Serpent IMG #4
Mystical Serpent IMG #5
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