インフラと自然が融合する新時代のサステナブル変電所

上海・閔行区の変電所が都市と共生するグリーン空間へ

上海の持続可能な都市開発を象徴する「Pastoral Substation」は、従来の産業施設を再生し、再生可能エネルギーと市民参加型のエコロジカル空間へと昇華させた。都市インフラと自然が調和する未来像を提示し、都市生活と環境意識の両立を実現している。

「Pastoral Substation」は、上海・閔行区の220kV変電所を、従来の閉鎖的なインフラから、誰もが利用できるエコロジカルな都市空間へと大胆に再構築したプロジェクトである。デザイナーのHang Chenは、上海の農耕文化や水辺の伝統に着想を得て、再生可能エネルギーと地域の歴史を融合させた設計を実現した。

このプロジェクトの最大の特徴は、太陽光発電パネルや風力発電装置、雨水回収システムなどの最新テクノロジーを活用しながら、地域の自然素材を積極的に取り入れている点にある。スチールやコンクリート、木材といったローカルマテリアルを用いることで、耐久性と景観の調和を両立。パッシブデザインによる自然換気や採光も徹底し、エネルギー消費を最小限に抑えている。

敷地面積は1.21ヘクタールに及び、3.49ヘクタールのグリーンベルトが都市の回遊性を高めている。高架歩道やソーラーカノピー、歩行者専用の小径が立体的な体験を生み出し、水・大地・エネルギーのつながりを体感できる設計となっている。インタラクティブな学習スペースやサステナブルな移動ネットワークも整備され、エネルギー意識の高い都市再生の新たなモデルを提示している。

訪問者は、再生可能エネルギーの展示やソーラーインスタレーション、歩くことで発電するキネティックパスウェイなど、体験型の仕掛けを通じてサステナビリティを学ぶことができる。ワークショップやガイドツアー、地域イベントも開催され、かつて孤立していた変電所が市民の交流拠点へと生まれ変わった。

このプロジェクトは、都市インフラとエコロジーの融合をテーマに、低炭素建設や多機能グリーンスペース、革新的なエネルギー利用の研究を重ねてきた。セキュリティとアクセシビリティ、エネルギー効率のバランスを追求し、技術的な課題をクリア。都市の持続可能性と社会的価値を同時に高める、先進的な都市インフラのあり方を体現している。

「Pastoral Substation」は、2025年のA' Design Award(エンジニアリング・建設・インフラ部門)でシルバー賞を受賞。都市インフラが市民生活と環境意識をつなぐ新たなランドマークとして、今後の都市再生プロジェクトの指標となるだろう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Hang Chen
画像クレジット: Hang Chen
プロジェクトチームのメンバー: Hang Chen
プロジェクト名: Pastoral Substation
プロジェクトのクライアント: WE-Me Group of Shenzhen Water Planning & Design Institute Co., Ltd.


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