世界最大のキネティックウォールが生む静寂と動きの美学

リヤドのイノベーション空間を彩る、精密工学と建築アートの融合

サウジアラビア・リヤドのアラムコ・イノベーションセンターに設置された「Kwsa」は、209平方メートルという圧倒的なスケールを誇るキネティックウォールです。Leva Engineeringによるこのプロジェクトは、テクノロジーを感じさせない静かな動きと、空間全体とのシームレスな調和を目指して設計されました。

Kwsaは、建築とテクノロジーの境界を超えたインスタレーションとして注目を集めています。壁面全体が流れるように動くこの作品は、20,000個ものステッピングモーターとカスタム設計のリードスクリュー、レバー機構によって制御されており、動作音を極限まで抑えた静寂なパフォーマンスを実現しています。全ての技術要素は壁の内部に巧みに隠され、訪れる人々には純粋な動きの美しさだけが伝わります。

このキネティックウォールは、6つのモジュールで構成され、各モジュールは幅6メートル、高さ7メートルという大きさです。設計段階からCADシミュレーションやCNC加工、精密な接着技術、さらに自動化された品質管理プロセスが導入され、0.1ミリ単位の精度を実現しています。自己潤滑性の高いテクノポリマー素材の採用により、長期にわたるメンテナンスフリーも実現しています。

動きの制御には、クロス型のプリント基板(PCB)が組み込まれており、各モーターは20ミリ秒ごとに独自プロトコルでアップデートされます。デザインチームはグレースケールの映像データを用いて動作シーケンスを設計し、専用の3Dシミュレーションツールでリアルタイムに動きを確認・調整することが可能です。これにより、空間内の他のメディアインスタレーションと完全に同期したパフォーマンスが実現されています。

プロジェクトは約12か月にわたり、プロトタイピングから現地設置、最終調整までを経て2024年に完成しました。特に、6つの巨大モジュール間でのサブミリ単位の精度維持や、石油・ガス産業の厳しい安全基準への対応、他のインタラクティブシステムとの連携など、多くの技術的課題を乗り越えています。

Kwsaは、建築空間における動的表現の新たな可能性を示しています。静かに、しかし確かに空間のアイデンティティを形作るこのインスタレーションは、訪れる人々に驚きと感動をもたらします。2025年にはA' Design Awardのシルバー賞を受賞し、その革新性と芸術性が国際的にも高く評価されています。今後の建築デザインやメディアアートにおいて、Kwsaが与えるインスピレーションは計り知れません。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Leva Engineering
画像クレジット: Leva Engineering
プロジェクトチームのメンバー: Leva Engineering CEO: Matteo Mosca Leva Engineering CTO: Gabriele Gambotto Contractor: Nesma Engineering Consultant: Dar Al-Handasah Concept, Design & Media Production: Tamschick Media+Space System Integrator: Creative Technology
プロジェクト名: Kwsa
プロジェクトのクライアント: Leva Engineering


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