自然と共生するカフェ「Merci」が描く新しい地域の風景

岡山発、地域循環と癒しを体現するサステナブルな建築

岡山の田園地帯に誕生した「Merci」は、自然と調和しながら地域の活性化を目指すカフェです。Yuma Satoによるこのプロジェクトは、地域社会に根ざした新しいライフスタイル空間として注目を集めています。

「Merci」は、都市と都市を繋ぐ田舎の中に、心安らぐ建築を築くという発想から生まれました。高齢化や人口減少が進む中、地域循環を支え、コミュニティに愛される風景を創出することが重要視されました。Yuma Satoは、地域の未来に寄り添う空間づくりを目指し、自然と人が共存できる場所を設計しています。

このカフェの最大の特徴は、周囲の田園風景を最大限に活かした設計にあります。道路に囲まれた立地を活かし、自然光が降り注ぐ開放的な空間を実現。多様なスペースを一体化する吹き抜けや、三角形のインドアバルコニーなど、ユニークな構造が訪れる人々に安らぎを与えます。また、内装には自然素材を積極的に取り入れ、洗練された雰囲気を演出しています。

建築技術にも革新性が見られます。木造建築をベースに、先進的な構造計算を駆使し、広々とした天井高を確保。床材にはコーヒーかすをセメントで固めたリサイクル素材を使用し、外壁にも自然素材を採用することで、サステナブルな建物を実現しました。こうした取り組みは、環境負荷の軽減とデザイン性の両立を可能にしています。

「Merci」は、地域の人々が集うカフェとしてだけでなく、地元食材を活用した地域循環の拠点としても機能します。さらに、伝統的な日本の建築美を活かした観光資源として、インバウンド需要にも対応。大きな窓やテラスによって、屋内外の境界を曖昧にし、自然の中で過ごす心地よさを提供しています。

今後は岡山市を皮切りに、複数店舗の展開が計画されています。地域の良さを最大化しつつ、未来志向のデザインを追求する「Merci」は、2025年にA' Design Awardのブロンズ賞を受賞。*「芸術・科学・デザイン・テクノロジーのベストプラクティスを体現し、生活の質の向上に貢献するデザイン」として高く評価されています。

「Merci」は、地域と自然、そして人々の新しい関係性を築く場として、これからのライフスタイルに新たな提案を投げかけています。サステナブルな建築と地域循環の実現に向けた挑戦は、今後も多くの注目を集めることでしょう。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: YUMA SATO
画像クレジット: photo:Iku Asanuma
プロジェクトチームのメンバー: sen ko home
プロジェクト名: Merci
プロジェクトのクライアント: koto architecture lab inc.


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