アルミニウムの花園：空間を彩るデザイン

落合守行によるレストラン「FLOWER」の革新的な空間デザイン

「FLOWER」は、その名の通り花をテーマにしたレストラン・バーで、その空間デザインは、一枚のアルミニウムシートが天井全体を覆い、花びらのように広がる様子を表現しています。アルミニウムは紙のように薄く、柔軟性があり、軽やかな存在感で空間を満たします。天井を覆うアルミニウムの折り目は、キラキラと輝く花びらのように見え、訪れる人々を花に包み込むような雰囲気を醸し出しています。

花びらの大きさや密度の変化により、各エリアの機能や雰囲気が生まれます。例えば、空間の高さや広がりの微妙な違いにより、活気あるエリアと静かなエリアが創り出されています。また、訪れる人々の位置や視角、壁の鏡からの映像や光の反射により、空間全体の見え方が常に再定義され、一瞬一瞬、多様な雰囲気を体験することができます。

また、このデザインは持続可能性も考慮されています。アルミニウムの天井部分の組み立て方法は、ビジネスの移転時に分解して再利用できるように工夫されており、移転コストの効果的な削減を実現しています。

このようなデザインの背景には、日本の伝統的な「モノづくり」の精神があります。一枚の紙から様々な形を生み出す折り紙、一反の布から生まれる着物、一枚の布で様々なものを包み運ぶ風呂敷など、一つの素材から多様なものを生み出すという考え方が、このデザインにも反映されています。

このように、「FLOWER」のデザインは、一枚のアルミニウムシートから生まれた花のイメージと、その背後にある日本の伝統的な「モノづくり」の精神を組み合わせることで、訪れる人々に多様な体験と快適な空間を提供しています。その独特なデザインは、2020年のA'インテリアスペース、リテール＆エキシビジョンデザイン賞でシルバーを受賞し、その創造性と革新性が高く評価されています。