逆転の時間と空間:ベジタリアンレストラン「Mays」

伝統を破るデザインで新たな食文化を創造

現代社会でのヘルシーライフスタイルとして注目されるベジタリアニズム。その理念を体現するレストラン「Mays」が、伝統的なベジタリアンスペースの常識を覆すデザインで登場した。

広東省では、旧暦の初一と十五に菜食を摂る風習があり、一年を通して菜食を摂ると若返るという伝説もある。そんな伝説をもとに、デザイナーのLing Chenは「逆転の時間と空間」をテーマにした空間を創り出した。

デザインチーム「YESDESIGN」は、テラゾ、ステンレススチール、銅チェーンといった素材を活用し、「逆転の時間と空間」のコンセプトを全体の空間デザインに取り入れた。その結果、ユニークで快適なダイニングスペースが誕生した。

「Mays」の店内は、グレーブラックのテラゾで覆われ、カウンターやテーブルトップから床まで一貫したデザインが施されている。天井は自然の大地を再解釈し、銅チェーンを巧みに配置することで、美しい視覚効果を持つ風景を創り出した。

このプロジェクトのために特別に作られたテラゾは、デザイナーが武漢と広州の2つの都市を訪れ、さまざまな床材を調査した結果、武漢のインクストーン製造業者がカスタマイズに応じてくれたものだ。通常のテラゾは灰色のセメントに白と黒の石が用いられるが、このプロジェクトでは青いクリスタル粒子とパール粒子が使用され、テラゾに使用される各粒子はデザイナー自身が選んだ。

かつてのベジタリアンレストランは「仏教の儀式」に関連付けられ、宗教的な領域に多く存在していた。しかし、「Mays」では、自然空間のブランド姿勢と人々の認識を覆すことを組み合わせ、細部の感覚を失わずに空間感を維持することが求められた。

「Mays」は、世界各地の食文化を集めてクロスボーダーな革新を推進するベジタリアンレストランである。食事を通じて人々の常識を覆す「Mays」では、空間でも同様にルールを破ることを目指した。菜食を摂ることで人体が逆成長するという伝説を元に、「逆転の時間と空間」をデザインした。

このデザインは、2021年のA'インテリアスペース、リテール・エキシビションデザイン賞でブロンズを受賞した。この賞は、芸術、科学、デザイン、技術のベストプラクティスを取り入れ、優れた技術力と創造力を発揮し、生活の質の向上に貢献し、世界をより良い場所にするデザインに授与される。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Ling Chen
画像クレジット: Image #1: Photographer YesDesign, Mays, 2020. Image #2: Photographer YesDesign, Mays, 2020. Image #3: Photographer YesDesign, Mays, 2020. Image #4: Photographer YesDesign, Mays, 2020. Image #5: Photographer YesDesign, Mays, 2020.
プロジェクトチームのメンバー: Chen Ling Zhu Jiefeng
プロジェクト名: Mays
プロジェクトのクライアント: Ling Chen


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