「Wusa」:新世代のモビリティが描く未来

杉原杏璃による電動パーソナルモビリティの革新

日本の地方都市で進行する高齢化と人口減少。その中で生じる交通問題を解決するために、デザイナー杉原杏璃が提案する新たなモビリティ「Wusa」。車椅子とバイクの中間的存在として、都市部からレジャーまで幅広く活用できるこの新しい乗り物について紹介する。

「Wusa」は、誰でも簡単に乗ることができる小型の電動バイクである。一方で、電動モビリティとしての機能を持つ車椅子と組み合わせることも可能で、都市部での移動からレジャー活動まで、さまざまな用途で利用できる。2020年のA'Design Awardでプラチナ賞を受賞した「WF01」にもドッキング可能で、乗る人を選ばない新たな交通手段として提案されている。

「Wusa」の特徴的なデザインは、軽量で大容量のリチウムイオンバッテリーを低く横に配置した頑丈な鋼製フレームによって実現している。既存のバイクやミニバイクのパーツを使用可能で、自分好みにカスタマイズすることも可能だ。最大35kphまで後輪駆動し、車椅子使用時に坂道で車輪が空転してトラクションを失うことはない。大きなストロークを持つリアサスペンションを装備し、快適な乗り心地とバイクとしての加速とブレーキによるターンの違いを楽しむことができる。

このプロジェクトは2019年の9月に日本で始まり、現在も続いている。RDS Co., Ltd.は長年にわたり様々なモータースポーツ製品の研究開発に取り組んでおり、最近ではF1レーシングチームのScuderia AlphaTauriの公式パートナーとなっている。また、アスリートと共にパラスポーツの競技用具の開発も行っている。彼らは車椅子生活を送りながらも、車両やスピードを愛している。レーシングフィールドで培われた技術が、共に楽しむことができる乗り物を生み出す。

「Wusa」は、車椅子利用者だけでなく、健常者も自分の使い方で楽しむことができる。純粋な福祉製品であることを超え、誰もが欲しくなり、乗りたくなる魅力的なデザインで、福祉モビリティの新たなあり方を提案している。これは、RDSが掲げる「カッコいいものこそ正義」の哲学を体現した製品である。

このデザインは、2021年のA' Vehicle, Mobility and Transportation Design Awardでシルバー賞を受賞した。シルバーA' Design Awardは、最高峰の創造性と専門性を示すデザインに授与される。これらのデザインは、強力な技術的特性と素晴らしい芸術的技巧を備え、卓越したレベルの優れた性能を示し、ポジティブな感情、驚き、ワンダーを引き出す。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: ANRI SUGIHARA
画像クレジット: RDS Co., Ltd.
プロジェクトチームのメンバー: RDS Ltd., Co., exiii design Inc. Yoshihiro Hirata R2, MAGNET Inc., makesense Inc. and quod, LLC
プロジェクト名: WUSA
プロジェクトのクライアント: ANRI SUGIHARA


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