伝統と革新が交差する、トロントの理想的な理髪店

デザイナーNivek Remasが描く、新たな理髪店の形

トロントのダンダス・スクエアに面した理想的なロケーションに、クライアントが夢見ていた理髪店を建設するためのプロジェクト。クラシックな理髪店への憧れと、歴史的なリノベーションプロジェクトへの興味から、デザイナーNivek Remasは伝統的なモールディングデザインを天井や壁に再解釈し、記憶に残る床のデザインを創り出した。

ダンダス・スクエア・バーバーズは、トロントのダンダス・スクエアに直接面した理想的なロケーションを利用した理髪店である。クライアントは自身のキャリア初期から常に夢見ていた理髪店をここで実現した。特に、重厚なモールディングと歴史的なリノベーションプロジェクトに魅力を感じていた彼は、Nivek Remasに対し、伝統的なモールディングデザインを壁ではなく天井や上部のダドに再解釈するよう挑戦を投げかけた。

また、ダンダス・スクエアから見ても印象的な床のデザインを求めていたクライアントの要望に応えるべく、鏡の柱を基点に、クラシックな理髪店のポールストライプを参考に放射状のパターンが創り出された。周囲の壁に固定されたステーションを持つ多くの理髪店の先例を研究した結果、Nivek Remasは鏡の柱を中心に浮かび上がるステーションを創り出し、よりダイナミックな環境を生み出した。

このスペースは850平方フィートしかないため、オンブレミラーと壁カバーが後部の部屋とアーチウェイに使用され、ユーザーの視線をメインスペースを超えて引きつけ、視覚的に拡大し、メインルームのデザインにレイヤーを重ねることが可能となった。

天井と上部のダドのモールディングは、粒子板の基板の伝統的なモールディングが重すぎてコストがかかるため、EPSフォームコアからカスタムモールディングを作るMouldex Mouldingsという地元の会社をNivek Remasが見つけた。これにより、重量が軽減され、コスト効率が良く、設置も容易になった。

カスタムのオンブレ壁紙とミラーの製作は、プロジェクトで最も試行錯誤が必要だった部分である。壁紙会社のMetro Wallcoveringと共にPNGファイルを開発し、テクスチャと色調に基づいていくつかのサンプルを承認した。そのデジタルファイルは、カスタムのオンブレミラーを製作するために、ミラー会社のAccura Glassに送られた。これは、低鉄ガラスのフロントとミラーバックパネルの間にオンブレフィルムがサンドイッチされているものである。ミラーパネルは、ステンレススチールのアーチウェイにぴったりと収まるように、現場で確認した寸法に基づいて製作された。

このプロジェクトの挑戦は、創造的な部分や研究部分よりも、COVIDの中でデザインを実行することにあった。健康対策の追加実施やロックダウン、輸入リードタイムの増加、建設材料の不足などによる建設遅延が多く、チームは日々適応しなければならなかった。また、すべてのコーディネーションがデジタル化されたため、コンサルタント間の調整もより困難になった。

このプロジェクトは、2021年にA'インテリアスペース、リテール、エキシビジョンデザイン賞のアイアン賞を受賞した。この賞は、プロフェッショナルで産業要件を満たすように設計され、実用的で革新的な創造物に授与される。業界のベストプラクティスと適切な技術特性を統合し、達成感とポジティブな感情を提供し、より良い世界に貢献することを評価されている。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Kevin Chan
画像クレジット: (Photographer Scott Norsworthy, NR-Dundas Square Barbers, 2020)
プロジェクトチームのメンバー: Kevin Chan Samer Shaath
プロジェクト名: Dundas Square Barbers
プロジェクトのクライアント: Kevin Chan


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