秋の詩情を宿す住空間：ハーヴェステッド・パビリオン

デザイナー：ヤン・リン・ウー、住宅デザインの新たな可能性

現代の文学巨匠、ラビンドラナート・タゴールの詩「放浪鳥」に触発され、デザイナーのヤン・リン・ウーは秋の静謐な詩情を住空間に落とし込んだ。彼のデザイン、ハーヴェステッド・パビリオンは、生活の哲学を美しく表現し、住宅デザインの新たな可能性を示している。

ハーヴェステッド・パビリオンは、秋の雰囲気を取り入れたいというクライアントの要望に応えるべく、ヤン・リン・ウーとそのデザインチームが生み出した住宅デザインである。ダークウッドの素材感と自然光を活用し、秋の落ち葉のような静かな美しさを表現している。

このデザインのユニークな特性は、秋の静けさと時間の流れを捉えた空間作りにある。公共エリアのデザインでは、テレビ壁の余分なスペースを取り払い、リビングルームの一角に半開放的なスタディスペースを設けることで、空間を広々と見せている。

また、デザインの実現には、チャンホンガラス、無垢材突板、チタンメッキ、琥珀色のガラス、SPCボードなどの素材が使用されている。これらの素材を組み合わせることで、秋の情景を思わせるダークウッドの壁面や、光と影を活用した空間表現が可能となっている。

ハーヴェステッド・パビリオンは、公共エリア、エントリーウェイ、リビングルーム、半開放的なスタディスペースを含む35坪の室内空間で構成されている。また、プライベートエリアとして、マスターベッドルーム、セカンダリーベッドルーム、マスターバスルーム、セカンダリーバスルームが設けられている。

このデザインは、2021年3月に台湾で完成した。デザインの過程では、空間の歪みやパーティションの多さといった問題に直面したが、それを解決するために、空間の再配置やソフトファニッシングの利用など、様々な手法が用いられた。

ハーヴェステッド・パビリオンは、A'インテリアスペース、リテール＆エキシビションデザイン賞2022でブロンズを受賞している。この賞は、芸術、科学、デザイン、テクノロジーのベストプラクティスを取り入れ、高い技術力と創造力を持つ優れたデザインに贈られる。