古都の息吹を現代建築に昇華:Peak Art

Shanghai PTArchitectsが描く、新たなる歴史的景観の創出

古都・徐塩館の歴史と文化を現代的な視点で再解釈し、新たなる都市景観を創出した「Peak Art」。Shanghai PTArchitectsによるこのプロジェクトは、伝統と革新が融合した独特なデザインで、地元の歴史的風貌を継承しつつ、都市の再生を促す一石となっている。

「Peak Art」は、中国・蘇州市の徐塩館に位置する。周囲は古い住宅地と未開発の土地に囲まれ、騒がしく荒涼とした環境が広がっている。この地は古代より繁栄してきた徐塩館の東岸に位置し、その歴史は約2000年前の秦代まで遡る。しかし、現代都市の開発と建設の進行に伴い、徐塩館の歴史と文化の痕跡は次第に薄れていった。

そんな中、Shanghai PTArchitectsは、現代のデザイン技術と素材を用いて徐塩館の文化と歴史の系譜を延長し、その伝統的な空間文脈を解釈する新たな建築形態を創出することを試みた。その結果、徐塩館の深い文化と歴史的遺産、そして古代の繁栄が「Peak Art」の設計に反映され、現代都市の中に新たな歴史的景観が生まれた。

このプロジェクトでは、蘇州や徐塩館の伝統的な建築に見られる黒レンガを主要な壁材とし、一部の壁面には穴あきの黒レンガを用いて景色を借りる効果と空間の相互作用を実現している。また、現代の素材と技術を用いて地元の伝統的な建築の色調とテクスチャを反映させ、現代と伝統の融合を表現している。

建築形態については、蘇州や徐塩館の伝統的な建築から傾斜屋根の形状を抽出し、現代的な技術で三つの傾斜屋根を形成。二つの連続した傾斜屋根と一つの独立した傾斜屋根の間を平屋根のセクションで連結し、シンプルで交錯した折り畳み式のファサードプロフィールを形成している。また、大規模なガラスカーテンウォールを用いて中庭の風景を室内の眺望に大いに取り入れ、"借景"と室内外の相互作用を実現している。

このような設計により、「Peak Art」は徐塩館の深い歴史と文化的遺産の継承と復興を喚起し、都市の記憶を再生。庭園風のレイアウトとファサード形状の現代的なアプローチにより、都市インターフェースの更新を実現し、周辺地域に温かさと調和をもたらしている。

「Peak Art」は、2020年9月に開始され、2021年4月に中国・蘇州で完成した。このプロジェクトは、2022年にA'アーキテクチャ、ビルディング、構造デザイン賞のゴールデン賞を受賞しており、デザインの創造性と優れた技術力が高く評価されている。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Quincy Li
画像クレジット: Photo Cradits: ArhiExist, Sanlengjing
プロジェクトチームのメンバー: Lead Designer: Reng Xiangyi, Chen Biao Design Team: Xia Dacang, Ru Siyu, Chen Jingyu, Hu Hongyi, Li Yanli, Chen Bin, Wu Dinglong, Hou Xianwu, Sun Xin, Yang Xue
プロジェクト名: Peak Art
プロジェクトのクライアント: Quincy Li


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