サステナビリティとデザインが融合した椅子「Passerine」

デザイナーAmos Gohが描く新たな家具の形

鳥が止まる枝のような独特のデザインと、環境に配慮した素材選びが特徴の椅子「Passerine」。デザイナーAmos Gohが、持続可能で耐久性のある家具への新たなアプローチを提案します。

「Passerine」とは、鳥が枝に止まる様子を意味します。その名の通り、この椅子の背もたれの独特の接合部は、金属の枝に止まっているかのようなデザインとなっています。素材やシステム、製造過程について深く考察した結果、見た目にも機能にも優れたこの椅子が生まれました。

「Passerine」の素材や製造技術は、精度と洗練さが求められるものばかり。ステンレス鋼は旋盤加工、曲げ、ノーリング加工が施され、塗装は施されていません。背もたれと座面は曲げ合板で、クッションはラテックスを使用し、レザーで張られています。これらの素材と製造過程は、他の代替品に比べて環境への影響が少なく、耐久性があります。また、過度の化学処理や不必要なプラスチックの使用を避けています。これにより、一生使える家具として、安心して使用することが可能です。

この椅子のサイズは、幅520mm、高さ800mm、奥行き485mmです。素材には合板、牛革またはサボテン革、ブラッシュ仕上げのステンレス鋼が使用されています。キーワードとしては、「サステナブル」「シンプル」「ミニマル」「モダン」「耐久性」「控えめ」が挙げられます。

「Passerine」は、家庭やダイニング、オフィスなど、さまざまな場所で使用できるスタッキングチェアです。プロジェクトは2021年6月にシンガポールで始まり、2022年1月に完成しました。地球や環境、資源の保全が最優先される時代に向けて、より進歩的なデザインを追求した結果がこの椅子です。

製品のライフサイクルを閉じることは、製造業や修理業が存在しない国々ではビジネス的に意味をなさないという問題があります。しかし、「Passerine」は全ての部品が交換可能でリサイクル可能であり、これを小売業者が有料で提供するという新たなビジネスモデルを提案しています。これにより、ビジネスとエンドユーザーの双方にとって、この椅子が魅力的な選択肢となります。

このデザインは、2022年にA' Furniture Design Awardの銀賞を受賞しました。この賞は、優れた技術的特性と芸術的技巧を持つ、創造的でプロフェッショナルなデザインに授与されます。これらのデザインは、優れたレベルのエクセレンスを示し、ポジティブな感情、驚き、ワンダーを引き出します。

Amos Gohの「Passerine」は、持続可能な未来を見据えた新たな家具デザインの可能性を示しています。環境に配慮した素材選びと、鳥が枝に止まる様子をイメージした独特のデザインが融合したこの椅子は、新たなライフスタイルを提案しています。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Amos Goh
画像クレジット: Amos Goh
プロジェクトチームのメンバー: Amos Goh
プロジェクト名: Passerine
プロジェクトのクライアント: Studio Bulbul


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