新聞の魅力を伝える斬新なツアールート:神戸新聞播磨工場

デザイナー:馬越洋子が描く阪神淡路大震災の記憶と教訓

新聞の魅力を伝えるため、阪神淡路大震災の体験と防災への関心を結びつけたツアープログラムを企画した神戸新聞播磨工場。そのツアールートは、子供たちに新聞の魅力を伝えるだけでなく、防災への意識を高める役割も果たしています。

近年、日本では若い世代が活版印刷から次第に離れている。そんな中、馬越洋子は大震災の体験と工場の地下ピットにある制震装置を結びつけたツアープログラムを企画。これにより、防災への関心を高めることが可能となった。

このツアールートは、新聞の魅力を子供たちに伝えるだけでなく、阪神淡路大震災(1995年)の経験に基づいた制震構造を持つ工場で、その構造を地下で見ることができる。地下空間全体に震災に関する新聞記事を投影する光のインスタレーションを通じて、訪問者は災害を間接的に体験する。これはまた、災害の記憶と教訓を次世代に伝えるプログラムでもある。

ツアールートの企画初期から、訪問者が触れて考え、楽しむことができる多くのアイデアを取り入れてきた。全体の空間を体験できるようにするため、展示には床から天井まで全てを使用した。特に、文字の視覚錯覚を使った壁の仕掛けは、子供たちがこの体験プログラムを楽しむための初めての仕掛けである。

ツアールートに沿った壁には数多くのクイズが印刷されており、訪問者は見るだけでなく考える空間を作り出している。多目的ルームでは、120年以上の歴史を持つ神戸新聞の歴史の年表が新聞のようなパネルに作られている。

当初、地下のインスタレーションはプロジェクションマッピングを取り入れる予定だったが、コストパフォーマンスが良くなかった。そのため、低コストで柔軟性のある8つの照明プロジェクターを採用した。この改善計画により、広範囲にわたる画像投影と強力な表現を実現することが可能となった。

阪神淡路大震災の経験に基づいて作られた制震構造の地下ピットでは、特別な体験を通じて震災の記憶と教訓を学ぶことができる。震災時に顧客が報道した記事が光のインスタレーションとして全空間に投影され、若い世代がそのイメージを体験することができる。

このデザインは2023年にA'インテリアスペース、リテール&エキシビジョンデザイン賞のブロンズを受賞した。この賞は、経験と創造力を認証し、芸術、科学、デザイン、技術のベストプラクティスを取り入れ、強力な技術的および創造的なスキルを発揮し、生活の質を向上させ、世界をより良い場所にする優れたデザインに授与される。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: SPACE CO., LTD.
画像クレジット: Image#1: Designer Yoko Umakoshi, Factory tour of THE KOBE SHIMBUN, 2019. Image#2: Designer Yoko Umakoshi, Factory tour of THE KOBE SHIMBUN, 2019. Image#3: Designer Yoko Umakoshi, Factory tour of THE KOBE SHIMBUN, 2019. Image#4: Designer Yoko Umakoshi, Factory tour of THE KOBE SHIMBUN, 2019. Image#5: Designer Yoko Umakoshi, Factory tour of THE KOBE SHIMBUN, 2019.
プロジェクトチームのメンバー: Designer:Yoko Umakoshi, Architect: Noboru Oshita
プロジェクト名: The Kobe Shimbun
プロジェクトのクライアント: SPACE CO., LTD.


The Kobe Shimbun IMG #2
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The Kobe Shimbun IMG #5
The Kobe Shimbun IMG #5

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