過去と未来が交差する、アップサイクルスピーカー「Danish Fuel」

デザイナーRene Sundahlによる、戦争の遺物を美と音楽に変えるプロジェクト

第二次世界大戦の燃料缶を再利用し、美しいインテリアと優れた音質を両立したポータブルスピーカー「Danish Fuel」。その背後にあるデザイン哲学とは何か。

「Danish Fuel」は、デザイナーRene Sundahlが手掛けたポータブルスピーカーのプロジェクトで、1937年に設計されたジェリカン(燃料缶)をアップサイクルしたものです。このジェリカンは、当時の軍隊の補給品を収納するために作られ、その名前はドイツ人(ジェリー)に由来します。このデザインは連合国によって模倣され、1944年のD-デイ直前には2100万個以上が製造されました。

しかし、現代のインテリアデザインと電子機器は、しばしば相容れないものとされてきました。スピーカーは、見た目が美しくても音質が劣る、または見た目が悪くても音楽が良く響く、という二律背反の問題に直面していました。そこでSundahlは、誰もがそのデザインと再生可能な音に魅了されるポータブルスピーカーを作ることを目指しました。

このスピーカーは、第二次世界大戦の燃料缶を再利用し、デンマークの女性によってデザイン、選択、製造されました。その目的は、ホームインテリアのスタイルを刷新し、お気に入りのヒット曲をアップサイクルされた燃料缶で楽しむことです。また、このスピーカーは一意のID番号でパーソナライズされています。

「Danish Fuel」の製造には、アップサイクルされた金属製のジェリカン、粉体塗装による色、10層の1mmベニヤと1層のスモークオークから成る成形合板、そしてアルミニウム製の制御プレート、足、マーキングプレート、IDプレートが使用されています。また、電子部品としては、Ciare製の6.5インチのネオウーファーと1インチのネオツイーター、160WのクラスDアンプ、DSPを用いたイコライザー、そしてバスとトレブルのフロントイコライザーが搭載されています。

このスピーカーは、Bluetooth 5.3とAUXを介して接続し、バッテリーまたは220Vで動作します。また、このプロジェクトは2021年9月から2022年12月までの間にデンマークのユトランドで行われました。初めてのデザインは2014年のサローネ・インテルナショナル・デル・モービレで公開されました。

このデザインは、2023年のA' Limited Edition and Custom Design Awardで銀賞を受賞しました。この賞は、優れた技術的特性と素晴らしい芸術的技巧を示し、優れたレベルの卓越性を示し、ポジティブな感情、驚き、驚嘆を引き出すデザインに授与されます。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Rene Sundahl
画像クレジット: Image #1, Illustrator Alexander IE, 2022 Optional image #2, Illustrator Alexander IE, 2022 Optional image #3, Illustrator Alexander IE, 2022 Optional image #4, Illustrator Alexander IE, 2022 Optional image #2, Illustrator Alexander IE, 2022 Video credits: Waqas Naveed
プロジェクトチームのメンバー: Rene Sundahl
プロジェクト名: Danish Fuel
プロジェクトのクライアント: Rene Sundahl


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