プライバシー重視の革新的住宅「Lap and Wrap」

モリモトハツオの建築が生み出す、内外一体の生活空間

道路から見えないU字型の配置でプライバシーを確保し、シンプルながらも力強い外観と対照的な、庭園と一体化した居住空間が特徴の「Lap and Wrap」。

建築家モリモトハツオが手がける「Lap and Wrap」は、プライバシーを重視した住宅設計の新たな地平を開いています。道路沿いにU字型に配置された建物は、外からの視線を遮りながらも、内部に開放的な生活空間を創出しています。道路の傾斜に対して建物の重心を高め、ベルトのように展開する外壁が、水平に長いデザインを生み出しています。

この住宅のユニークな特性は、構造壁と建物の基礎を合理的に組み合わせ、余剰部分をできるだけ中庭に返す設計にあります。基礎は垂直ではなく斜めに設置され、形状と表情を与えています。外壁は積層のように重なり、ベルト形状で連続的に包み込むデザインとなっています。外側には窓がないものの、庭側には多くの窓と庇があり、内外が一体となった空間を創出しています。

建築材料には、スターバックスが生み出すリサイクル紙パルプとコーヒーかすを使用。内部に開かれた空間は一階に完結し、庇の下の床と梁が連続して庭と繋がり、ガラスのサンルームは全開にすることができます。屋内外にいても互いの存在を感じられる、道路からは見えない生活空間が家族に快適さとプライバシーを提供します。

敷地面積401平方メートル、床面積138平方メートル、1階建て、鉄筋コンクリートと木造の住宅です。建物の配置は道路に沿って無駄なく行われ、半分以上の余剰部分が中庭に返されています。また、建物に面する交差する道路には高低差があり、道路に沿って建物を配置する構造的配慮と、道路に繋がる美的ファサードデザインを組み合わせることで、この建物の性能が発揮されました。

このプロジェクトは、2018年10月に名古屋で始まり、2021年10月に建設が開始され、2022年9月に完成しました。不均一な地形の敷地では、安全な斜面に建築することが可能ですが、都市部では土木工事の垂直な擁壁を設置して可能な限り水平に広げることが一般的です。このプロジェクトでは、高低差のある敷地で擁壁と基礎を使用し、合理的に配置されました。そして、一階の空間は連続する中庭に減少し、クライアントの生活に近づけています。

この住宅は、2024年にA'アーキテクチャー、ビルディングアンドストラクチャーデザインアワードでブロンズを受賞しました。ブロンズA'デザインアワードは、経験と創造性を証明する優れたデザインに授与され、芸術、科学、デザイン、技術のベストプラクティスを取り入れ、強力な技術的および創造的スキルを展開し、生活の質の向上に貢献し、世界をより良い場所にすることを評価されています。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Hatsuo Morimoto
画像クレジット: [#1:photographer Nobuki Taoka,Facade,2022] [#2:photographer Nobuki Taoka,Entrance,2022] [#3:photographer Nobuki Taoka,Courtyard,2022] [#4:photographer Nobuki Taoka,Dining kitchen,2022] [#5:photographer Nobuki Taoka,Sanitary,2022]
プロジェクトチームのメンバー: Hatsuo Morimoto
プロジェクト名: Lap and Wrap
プロジェクトのクライアント: moKA architectural design office


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Lap and Wrap IMG #5
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