伝統と革新が交差する箸「Restless Chopsticks」

デザイナーMarko Stanojevicが挑む、未来へ継承するデザイン

香港のベンチャーキャピタル会社UMAが、クリエイティブな経済を目指して生み出した箸「Restless Chopsticks」。そのデザインは、会社の価値観を象徴しながらも、リテール環境で独立して機能するという多面的なコミュニケーションオブジェクトとして設計されています。

この箸の特異なデザインは、箸の持ち手と食事に接触する先端部分の間にある、通常は見過ごされがちな中間部分に注目したことから生まれました。UMAのロゴである「脈動」を象徴する形状がこの箸の中間部分に挿入され、箸の先端がどのように落下しても表面から離れるようになっています。これにより、箸置きが不要となりました。

製品は食品用のチタンで作られ、ダークグレーとゴールドの二色のチタンコーティングが施されています。表面は二段階で磨かれ、二つの異なる仕上がりが実現されています。箸自体は長さ260mm、後端部分の幅は7.5mm、前端部分は3.5mmです。脈動部分は長さ25mm、最大距離点間の幅は13.5mmで、これにより箸の先端部分は常に表面から最低5.5mm以上離れることが保証されています。

この箸のデザインには、東アジアの伝統を尊重しつつ、脈動部分をゴールド色のチタンコーティングで仕上げ、箸の直線部分をマットなダークグレーのブラッシュ仕上げでコントラストをつけるという研究が基づいています。また、箸の直線部分は一貫して制御された形で仕上げられていますが、脈動部分のポリッシュとゴールドコーティングは意図的にランダムに行われています。これにより、実際の生活のランダムな美しさが反映され、各箸がユニークで特別なものとなっています。

このデザインの最大の挑戦は、普通の箸を未来に向けた伝統と現代の遺産に変えることでした。箸の美しいシンプルさは、箸を使うためのエチケットには第三のオブジェクト、箸置きが必要という事実によって妨げられていました。この「実際には三つ目が必要なクリーンな二つ」の矛盾を解消するために、箸置きの目的を果たす方法を見つけることがデザインの方向性となりました。

UMAはクリエイティブな経済に焦点を当てた香港のベンチャーキャピタル会社で、この「Restless Chopsticks」は、リソースを投資して変化をもたらすという会社の価値観を表現する記念品としてデザインされました。箸の先端部分は常にテーブル表面から持ち上げられ、箸置きが不要になりました。また、脈動部分は常に十分に離れて衝突しないように設計され、食べ物をつまむための機能も確保されています。

このデザインは、2023年にA' Bakeware, Tableware, Drinkware and Cookware Design Awardでブロンズ賞を受賞しました。この賞は、芸術、科学、デザイン、技術のベストプラクティスを取り入れ、強力な技術力と創造力を持つ優れたデザインに授与されます。また、生活の質の向上に貢献し、世界をより良い場所にすることを評価されています。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Marko Stanojevic
画像クレジット: UMA Network Limited
プロジェクトチームのメンバー: Marko Stanojevic
プロジェクト名: Restless Chopsticks
プロジェクトのクライアント: Marko Stanojevic


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