2050年には世界人口が100億を超えると予測されており、食糧需要はさらに増大することが予想されます。特にアジアやアフリカなど人口が増加する地域では、農業に適さない地域も多く、食糧不足が深刻化する可能性があります。日本をはじめとする先進国では、高齢化や人口減少による農業従事者の減少、食品廃棄の問題などが挙げられます。これらの課題を解決し、持続可能な社会への食品価値チェーン全体の改革を目指すのがデンソーの目標です。
世界中で農業従事者が減少する中、時間を要する収穫作業は人手を節約する分野の一つです。そこでデンソーは、このロボットを人との安心感を持って接することができるようにデザインしました。どの角度からも見える目を特徴とし、移動方向を示すとともに、フレンドリーなイメージを与えます。丸みを帯びたトップサーフェスと真珠のような仕上げは、威圧感を与えず、汚れが溜まりにくい設計となっています。
デンソー独自の画像処理技術とロボットハンド技術により、収穫技術の新たなレベルに到達しました。モジュラー構成を採用し、汎用性を高めるとともに、コスト削減と低い導入障壁を実現しています。清潔さを保つため、トップサーフェスには水や汚れが溜まりにくいように凹凸を最小限にし、ケーブルも露出させていません。人々が安全にロボットと作業できるように、状態表示灯を備え、障害物を検出して安全に停止するシステムを搭載しています。
このロボットは、大規模な園芸施設でチェリートマトを収穫するために開発されました。農場に敷かれたレールに沿って自動的に移動し、カメラとセンサーを使用して収穫に適したチェリートマトを検出します。ロボットのアームは伸びて、トマトの房全体を切り取り、それをロボットが引く箱に入れます。夜間にも人がいないときに作業ができ、労働力の節約、労働力不足の解消、収穫量の増加に貢献します。
デンソーは、温室内の全プロセスをシステムに統合し、人々には人に適した作業を、機械には機械に適した作業をさせることで、地元の農家に活気ある職場を提供することを目指しています。カメラとAI技術を使用して房を検出し、熟度を判断し、自動的に収穫します。ピーク時の収穫作業を機械に置き換えることで、作業者の負担を軽減し、効率的に作業ができ、過度な負担をかけることなく働けます。
初期開発段階では、内部メカニズムと複雑な配線のためにロボットは角ばった形状であり、その大きなボディサイズはあまりフレンドリーな印象を与えませんでした。フレンドリーな印象を作り出すために、内部構造から始め、機能を維持しつつ丸みを帯びた形状を実現するフレームレイアウトを考案し、部品を配置して体積を減らすことに挑戦しました。また、人とロボットのコミュニケーションを容易にするために、人々の目に合うようにインジケーターライトを設計しました。
プロジェクトデザイナー: DENSO DESIGN
画像クレジット: Image #1:Designer Yuko Kanda, 2020, Design Division, DENSO CORPORATION / Image #2-#5:2020,Public Relations Division, DENSO CORPORATION
プロジェクトチームのメンバー: Producer:
Hideyuki Nishino, Food Value Chain Business Development Division
Go Handa, Production Eng. Division
Director:
Takaomi Hasegawa, Food Value Chain Business Development Division
Tomoki Ikoma, Design Division
Yuji Kawahara, Mobility Electronics R&D Division
Designer:
Seisho Inada, Food Value Chain Business Development Division
Hiromu Arihara, Production Eng. Division
Yuko Kanda, Jihye Kim, Design Division
プロジェクト名: Automatic
プロジェクトのクライアント: Denso Corporation