中国全土で見られる伝統的なレンガ製造技術は、地域によってその色合いや形状が変わります。特に赤レンガはその低コストから民家の建築に広く用いられてきました。しかし、都市建設の発展に伴い、伝統的なレンガと石積み技術は大規模な公共建築の要件を満たすことができなくなりました。そのため、デザイナーのアン・ユウは、この伝統的な技術を現代の建築に適応させる新たな方法を模索しました。
TICアートセンターは、その結果として生まれたプロジェクトです。建築、インテリア、製品デザインなど、様々な分野のデザインが一体となり、構造の革新を追求しています。このプロジェクトは、都市風景の一部としての影響力を持つと同時に、手作りレンガ業界の製品トレンドにも影響を与え、環境に優しい建築の成功事例となっています。
この建築物の特徴的な要素の一つが、25種類の金型を用いて作られた赤レンガです。これにより、建築物全体に一貫した雰囲気が生まれ、建設コストと効率性も向上しています。また、赤レンガは地元の伝統的な製造技術に基づいて選ばれ、その結果、建築物は地元の文化と深く結びついています。
また、TICアートセンターは、その機能性とインタラクティブ性も特筆すべきポイントです。ビルの中央には「谷」のような通路が設けられ、建物内部に高度な通過性と相互作用性をもたらしています。これにより、主要な展示スペースと運用スペースが分離され、訪問者は中断されることなく建物を巡ることができます。
このように、TICアートセンターは伝統と革新が交錯する場となり、訪れる人々に新たな体験を提供しています。その独自性と創造性は、2023年のA'建築、建物、構造デザイン賞で金賞を受賞するなど、多くの評価を受けています。
プロジェクトデザイナー: Ann Yu
画像クレジット: Ann Yu
プロジェクトチームのメンバー: Ann Yu
プロジェクト名: TIC Art
プロジェクトのクライアント: Times China Holdings Limited