共感を照らすデザイン:アレクセイ・ダニリンのフロアランプ

日常に溶け込む感情共有の照明器具

他者の感情に寄り添う共感という概念を、毎日使う照明器具のデザインに落とし込んだ「Empathy」。アレクセイ・ダニリンによるこのプロジェクトは、ただ明るさを灯すだけでなく、使用者の実用的かつ感情的なニーズに適応するフロアランプです。

「Empathy」は、その名の通り共感を形にしたようなデザイン。角度調整が可能なアーム、動きを感知するセンサー、そして光の強さを変えられる機能を備えており、使用者がテーブルで座っているときも、通り過ぎるときも、ランプをコントロールできるように考えられています。特にパンデミックの影響を受け、非接触で操作できることが重視される現代において、このランプは新しい生活様式に対応するアイテムと言えるでしょう。

ダニリンは共感の原則を用いて、人々の生活や習慣を研究し、フロアランプがどのように使用され、どのように改善され得るかを探求しました。観察と調査を通じて、人々の行動や空間での振る舞いを分析し、より人間中心のデザインを目指したのです。

技術的な仕様においては、高さ1420mm、幅800mm、奥行き300mmとなっており、金属、アクリル、LED(14W、3000K、1210lm、90CRI)を使用。ランプの回転機構は上下に90度、左右に360度動かすことができ、動きに応じて光の強さを調整するセンサーが搭載されています。

このランプは、ホテルやカフェなどの公共空間でも活躍します。触れずに操作できるため、ウイルスからの保護にも役立ちます。また、その洗練されたデザインは、視覚的な雑音を排除し、どんな空間にも調和します。

2023年4月にモスクワでプロジェクトが始動し、同年12月に完成。2024年4月にはモスクワでの展示が予定されています。この「Empathy」フロアランプは、2024年のA'ライティングプロダクツ&フィクスチャーデザインアワードでブロンズを受賞しました。優れた創造性と独創性を証明するこの賞は、芸術、科学、デザイン、技術のベストプラクティスを組み合わせた作品に与えられるものです。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Alexey Danilin
画像クレジット: IP / COPYRIGHT / IMAGE / PHOTO / SOUND / VIDEO CREDITS Image #1: Maytoni brand visualizer Dmitry Cherednikov, 2023, Image #2: Maytoni brand visualizer Dmitry Cherednikov, 2023, Image #3: Maytoni brand visualizer Dmitry Cherednikov, 2023, Image #4: Maytoni brand visualizer Dmitry Cherednikov, 2023, Image #5: Maytoni brand visualizer Dmitry Cherednikov, 2023.
プロジェクトチームのメンバー: Lead designer: Alexey Danilin, Engineer: Nikita Morozov, Product manager: Elena Slivka. Assistant product manager: Anastasia Orlova. Visualizer: Dmitry Cherednikov.
プロジェクト名: Empathy
プロジェクトのクライアント: Maytoni


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