子供たちの成長を促す家:「With Four Children」

山下龍二による家族とつながりを重視した独創的な住宅設計

子供たちがそれぞれの部屋でありながらも家族とつながりを感じられる空間を作り出すことを目指した、山下龍二による家族向け住宅「With Four Children」の設計について紹介します。

「With Four Children」は、夫婦とその4人の子供たちのための家です。クライアントは、それぞれの子供にプライベートな部屋を提供したいと考えていました。しかし、子供たちは年齢が近く、常に一緒に遊んでいるため、プライベートな部屋が家族を分断するのではないかという懸念がありました。そこで、山下龍二は、子供たちがそれぞれの部屋にいながらも家族とつながりを感じられる空間を作り出すことを決定しました。

この家のユニークな特性は、4つの子供部屋が互いに向かい合う形で配置され、その間に段差と窓が設けられていることです。子供たちが窓を開けると、床が大きなデスクに変わり、向かい合って勉強することができます。4つの子供部屋は一体化した空間となり、ガラス製のデスクを通じて1階とつながっています。これにより、家族がさまざまな距離感でつながることができる空間が生まれました。

この家の設計にあたって、山下龍二は自身の子供時代の経験を参考にしました。彼は子供の頃に勉強机を与えられましたが、壁に向かって勉強することは苦痛でした。机は物を置く場所を制限し、紙を広げることができないため、書くことが制約されていました。この経験から、彼は床をデスクにすることで、子供たちが机に座るだけでなく、大きな絵を描くなど、さまざまな可能性を広げる空間を作り出しました。

「With Four Children」は、敷地面積300.38m2、建築面積69.56m2、延床面積125.65m2(1階:63.35m2、2階:62.30m2)という規模で、最高高さは7,450mmです。この家の設計と建設は、2021年6月から10月までの期間で行われました。

このプロジェクトでは、住宅設計の研究が行われ、人々の生活を豊かにすることを目指しました。そのために、変化を許容する余白を残すという方法論が採用されました。この研究の結果、住民の生活が豊かになり、機能のない空間を作る重要性が浸透しました。

最後に、この設計は2022年のA'建築、建物、構造デザイン賞でブロンズを受賞しました。この賞は、芸術、科学、デザイン、技術のベストプラクティスを取り入れ、優れた技術力と創造力を持つ、生活の質を向上させ、世界をより良い場所にするデザインに授与されます。


プロジェクトの詳細とクレジット

プロジェクトデザイナー: Ryuji Yamashita
画像クレジット: Image #1: Photographer Ikuya Sasaki, Photography, 2021.Image #2: Photographer Ikuya Sasaki, Photography, 2021.Image #3: Photographer Ikuya Sasaki, Photography, 2021.Image #4: Photographer Ikuya Sasaki, Photography, 2021.Image #5: Photographer Ikuya Sasaki, Photography, 2021.
プロジェクトチームのメンバー: Ryuji Yamashita
プロジェクト名: With Four Children
プロジェクトのクライアント: Ryuji Yamashita


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